ポスト"巣ごもり"へ、プロ需要に照準

「第59回JAPAN DIY HOMECENTER SHOW2023」(主催・日本DIY・ホームセンター協会)が8月24日から26日までの3日間、幕張メッセで開催された。出展数は517社・1,120小間、塗料・塗装用品コーナーには14社・51小間が出展した。会期中、約5万6,000人が来場した。
DIY用を含む家庭用塗料市場は、巣ごもり消費に沸いた2020年をピークに反動減に見舞われており、「回復にはしばらく時間を要する」との見方が多勢を占める。旺盛な旅行・レジャー需要に対し、"家消費"が苦境に立たされている。
 こうした動向に対し、塗料・塗装用品各社は、プロユース市場に着目。プロショップ展開で安定需要の獲得を狙うホームセンターに呼応しようとプロ製品の訴求が目立った。


■アサヒペン
アサヒペンは、業界初となる「水性ニススプレー」の他、非塩素系塗膜剥離剤「水性塗料はがし液」、「光反射スプレー」、環境配慮型手洗い洗浄剤「手ブックリン」など新製品を出展した。
「水性ニススプレー」は、エアゾールタイプの水性ニスで紫外線吸収剤を配合し、素材の変色を抑制。屋外での使用を可能にした。屋内外木部や木製品、玄関ドア、フェンスなどの用途を見込む。容量300㎖、全7色。
「光反射スプレー」は、夜間の視認性と意匠性向上を目的としたアイデア塗料。配合したガラスビーズが光に強く反射し、自転車やコンクリート、看板など注意喚起を高める効果がある。
この他、手で塗れる塗り壁材「NuriDeco Wall」が施工性と着色性を特長に人気を高める他、水性多用途ペイント「マットカラー」の常備色を混ぜ合わせたカラーチップを出展。「1対1で混ぜ合わせて多彩な色を表現できる」(担当者)と店頭におけるカラーニーズへの対応策を示した。
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■カンペハピオ
カンペハピオは、天然植物原料を使用した水性ジェルステイン「BOTANICAL PAINT」を出展した。
同品はアマニ油や桐油などを使用した安心・安全をコンセプトにした製品。紙製容器を採用し、化粧品のようなパッケージに仕立てた。
開発を手がけたのは同社女性チーム。「色も従来の木部色にとらわれず、やさしい色を揃えました」(担当者)と最終的な色選定を残しつつ、パステル色を取り入れるなど、インテリアアイテムとしての普及に期待する。
また同品においては、昨年設立したEC事業会社「関西ペイントブラーノ」と連携する予定。ライフスタイルの提案から販売、サービス提供を包括したビジネスモデルの創出を模索する。
この他、大阪ガスケミカルの木材保護塗料「キシラデコール」やBAN-ZIのサビ転換塗料「サビキラー」、吉田製油所の白アリ予防駆除・木材防腐剤「水性白アリスーパーPHI」などを出展。トップ商品の品揃えで付加価値を高めている。
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■ニッペホームプロダクツ
ニッペホームプロダクツは、"プロ御用達"を掲げ、業務用塗料シリーズとして展開する「FOR PRO」を前面に訴求した。
「FOR PRO」はこれまでアクリル、ウレタンを主体とした内外装用塗料を展開してきたが、新たに①水性コンクリート床用塗料②水性シリコン弾性塗料③水性マルチ強密着シーラー(カチオン系)④水性高耐久外壁用塗料(フッ素系)⑤弱溶剤形トタン用塗料を加える計画。建築用塗料市場のトレンドを押さえたラインアップからプロ需要の取り込みを提案した。また一方で、細口ノズルを採用した「超細書き シャープスプレー」、木部、人工木の両方に適応した木部用塗料「All Woody Protect」、水性さび転換剤「さびチェンジ」も「FOR PRO」に追加する。
また手で塗る塗料「MORU MORU(モルモル)」の屋外用として「SOTO MORU」(ソトモル)を開発。仕上げ、補修材としての需要を見込む。

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■アトムハウスペイント
アトムハウスペイント(アトムサポート)が今回のDIYショーで目玉に据えたのは新商品の「ハードラインスプレーEasy」。道路の区画線の塗装を簡便に行えるスプレータイプの路面標示用塗料で、DIY市場での路面用定番塗料「ハードライン」のシリーズ品。路面標示用塗料大手のアトミクスのグループ会社として、満を持して投入したスプレータイプの区画線用塗料だ。
「道路の改修工事や水道管のメンテナンスなどで路面に仮の区画線を引くとき、この手のスプレータイプの塗料が多用されており、それなりのボリュームがある」(担当者)と説明。「路面標示用塗料を得意とするメーカーとしての性能、商品力を強みに拡販を図っていきたい」と意欲を見せた。
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■和信ペイント
和信ペイントは、ホームセンター及び一般来場者を対象にしたDIYワークショップイベントを開催。アウトドアラック作りに挑んだホームセンター向けワークショップでは、2日間にわたり7社が参加。ワークショップの様子を見ようと来場者が取り囲む光景が見られた。
出展商品としては、強密着・超耐久床用塗料「フローリングコート」と、人工木デッキコート「パワープロテクト」を引き続き紹介。いずれも住宅建材の変化を見据えた商品で「フローリングコート」はシート系、木質系フローリングの両方に適応するのが特長。「シート、木質系の見分けがつかないフローリングに対しても問題なく塗装できる」と市場の評価を高めている。
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■ターナー色彩
DIYショーの常連となったターナー色彩がプッシュしたのは、今春発売した「窓ガラス用水性遮熱ペイント」。塗膜の均一性に縛られない"磨りガラス"状の仕上りにしたことで施工の簡便性を実現し、"簡単に剥がせる"ようにしたことで太陽の日射しが欲しい冬場の問題も解消したアイデア商品だ。「電気代が高騰している折、暑さ対策もさることながら、ホームセンターさんには省エネ対策品としても押してもらっており、売れ行きが順調」と担当者。
また、プロの塗装業者の購入も増えているとのことで、「工場屋根の遮熱塗装とセットで窓の遮熱塗装も提案、受注に効果的との評判を頂いています」とヒット商品への兆しを見せていた。
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■ハンディクラウン
DIY、ホームセンター市場において塗装用具でトップシェアのハンディクラウンは今回、「小さなファクトリー」とのコンセプトで、「刷毛やローラーに改めて関心を持っていただける展示」(担当者)に努めた。
ブース内では、馬やヤギなど刷毛の原毛を種類ごとに展示。また、刷毛とローラーをパーツごとに分解して製造過程をビジュアル化するなど「小さなファクトリー」をブース内で展開した。
毎年このショーで新開発品を参考出品し、その反応を見て市場展開に入る同社。今回も、"アンメルツ"のように塗料を塗れる「タッチアップローラー」や、塗ったばかりの板材を重ねて置ける乾燥用スタンド「乾かせくん」などを参考出品、来場者の反応を探った。
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■カモ井加工紙
工業用のマスキングテープを、多彩な柄やデザインで女性の普段使いのファンシーグッズとして変貌させたカモ井加工紙の「mt」。小物への便利使いから部屋のデコレーションまで用途が拡大する中で、今回参考出品として展示したのが、「ペンキが塗れる広幅のマスキングテープ」だ。
これは、部屋の壁をペイントしたいという人たちに向けた下張り用のマスキングテープ。ペイント用にこのテープを張ることで、ビニールクロスなど既存の壁に塗料が付着することなく、ペイント仕上げの部屋に仕立てられる。「原状回復したいときはマスキングテープを剥がすだけでオーケーなので賃貸住宅にぴったり。部屋の中を大胆にデコレーションできるグッズとして販売していきたい」と近日中の発売を予定。
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■大村塗料
初出展となる塗料ディーラーの大村塗料は、ウイルスを99.99%除去するキトサン含有内装塗材「キトサン8」とイカ墨を原料とした天然セピア画材「イカスミJIRO」を出展した。
「キトサン8」は、キチンナノファイバーを配合した多機能型塗材で消臭、抗ウイルス性、抗菌性、防カビ性、調質性が特長。一方、「イカスミJIRO」は、イカ墨を顔料化し、画材への応用を実現した製品で、イカ墨を語源とするセピア色を表現できる。
大村善彦社長は「カニ殻を原料とするキトサン、イカ墨のいずれも廃棄物を原料としており、資源活用の観点からも価値は高いと考えている」と説明。環境性を付加価値に販売ルートの拡充に挑む。

■ピーアイエー
単独としては初出展となるピーアイエー。「数年前からホームセンタールートへの展開を始めている」と担当者。同展を通じ、ホームセンタールートの拡充に弾みをつける考えだ。
今回、出展したのは、「チャスキ」や「ガシガシ」「ステラデラックス」「ボンパラゴン」「メロン」「ラム」「ソレーユ」など同社の主力製品。
プロ需要の取り込みを目指すホームセンターでもプロブランドの要望が強まっており「既存の商流を侵すことなく付加価値を訴求することができる」と商機につなげる。

■コスモコーティング
汚れや傷つきを抑える皮革用シリコンコーティング剤「皮王」を筆頭に商品ラインアップの拡充を積極化するコスモコーティング。無機質無溶剤シリコン樹脂技術をコアに新製品としてタイル・石材用ガラスコーティング「抗菌すべらん」、瞬間強力撥水コート「撥水KING」、業務用強力洗剤「泡クリンPRO」を出展した。
特にホームセンターからの引き合いが増えているのが木材用ガラスコーティング「抗菌すべらん」。ジョイフル本田荒川沖店での導入を契機に取り扱い店舗を拡充している。
同品の特長は、フローリングに対し滑り止め性を付与できる点。「ペットの脱臼など床のすべり止めに対するニーズは高く、絨毯や張替えと比べて塗装の手軽さがうけている」と担当者。6畳用で2万9,700円、12畳用で5万7,200円(税込)とDIY用塗料としては高価だが「売上は伸びている」と高価格帯商品の可能性を広げている。

■タイホウ
塗装用ローラーメーカーのタイホウは、今年2月に投入した新型ローラー「キラキラ」をはじめ各種ローラー製品を出展した。
「キラキラ」は、外壁用塗料で需要を伸ばす艶消し仕上げに特化して開発した製品で「底艶やシーラーを拾うことがなく、塗り重ねにも対応する」と担当者。ローラーの平滑性を高めることで中毛13mmによる艶消し仕上げを実現。窯業サイデイングへの適応を可能に販売拡大に注力している。
数年前から継続出展しており「プロ需要の取り込みを目的に塗装用品においてもプロブランドを求める傾向が強まっている」と担当者。ホームセンタールートの拡充につなげている。



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