「白」だけで多彩な住空間をつくる
建築家PJ第3弾

内装ペイント文化の創造を目指した日本ペイントホールディングスのペイントブランド・ROOMBLOOMによる「建築家と考えるペイント」プロジェクト第3弾の完成披露会が7日、横浜市の現場物件で行われた。今回は注目の若手建築家・藤田雄介氏(Camp Design=写真左)と須藤剛氏(須藤剛建築設計事務所=同右)とともに「白の可能性を探る」をコンセプトに展開、「白」という色の持つ豊かな表現性を引き出したプロジェクトとなった。

 


「建築家と考えるペイント」は過去2回、既存住宅をペイントでリノベーションするプロジェクトとして行われた。第1弾では空間全体をペイントカラーのトーンで調整して上質な空間をつくり出す試み、第2弾は自由なデザイン表現というペイントならではのリノベーションで、いずれも今あるもの、古いものに再び価値を与えるというペイントの有用性を示した。

第3弾となる今回は横浜市の住宅が舞台で、プロジェクトで初の新築での展開となった。
物件は建築面積31.32㎡、延べ床面積92.34㎡の木造3階建て住宅。断面の大きい集成材の梁を用いることで、各階は間仕切りのないワンフロアを実現、狭小住宅のデメリットを解消している。また、縦横で井桁に組まれたあらわしの梁の端面とそれに対峙する木床面には溝が彫られ、そこに脱着可能な建具を用いて部屋の間仕切壁として、あるいはクローゼットの空間をつくるなどそのときどきの生活スタイルに合わせて可変できるのが最大の特徴。"建具の藤田"の異名を持つ藤田氏の得意の設計パターンだ。

そして今回、内装の壁のほぼ全面にROOMBLOOMの白系の色が用いられた。「ROOMBLOOMがラインアップしている白が持つ微妙な色のバリエーションに直感的な面白さを感じた」(藤田氏)ことがコラボレーションの理由。

今回は6色の白系の色が使われた。1階の壁は「雪明り」という淡く緑がかった白。「植栽の緑が雪に反射して窓から入ってきた光のイメージ」(須藤氏)と表現。リビングとダイニングキッチンで構成する2階は家族が長い時間を過ごすスペースのため「朗らかな気持ちでコミュニケーションできるように」とやや暖色系に寄った「rosey white」という色をチョイスした。3階は寝室が想定されることから沈静効果を狙って紫に寄ったの白「still in dream」を使うなど白のバリエーションの微妙な違いをデザインに反映させた。

その違いは1階から3階まで吹き抜ける階段室の壁で確認できる。それぞれの色味が隣り合うことによって対比がくっきりと分かる仕掛け。一見すると「白い内装」で全体が括られるが、そこには住まい手の居心地を考えた色使いのストーリーと、白の多彩なニュアンスという隠れた面白さがある。

日本ペイントHDの中澤淑子マネージャーは「ROOMBLOOMの白の微妙な違いをひとつの空間で表現するのは以前からとてもやりたかったこと。それが実現できてワクワクしています」とコメント。白だけの表現力という、ペイントの可能性をまたひとつ広げた。



藤田雄介氏㊧と須藤剛氏㊨
藤田雄介氏㊧と須藤剛氏㊨
井桁の梁と白い壁が特徴的
井桁の梁と白い壁が特徴的

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