"剥がせるプライマー"という逆転発想の塗料が誕生しそうだ。ターナー色彩は、賃貸住宅におけるインテリアペイント(内装塗料)の普及を目的に「はがせるプライマー」の開発を進めている。入居者が壁をペインティングしても退去時に塗膜をすべて剥がせるようにすることで、原状回復という賃貸特有の制約をクリアしようというもの。インテリアペイントの需要を賃貸住宅に広げる切り札にしたい考えだ。

7月18日に東京ビッグサイトで開いた「ミルクペイントforウォール」の新製品発表の席上で「はがせるプライマー」の開発を発表した。

同プライマーの最大の特徴は、日本の住宅の内装壁のほとんどを占める『塩ビクロス』に対してストリッパブル性(剥がせる機能)を持たせたこと。ガラスや大理石など吸い込みがなく平滑な箇所へのストリッパブルペイントは市販されているが、凹凸な表面でしかも塩ビ素材に対して剥離性を持たせる塗料は初めて。特殊樹脂の採用により可能性を見出した。

狙いは賃貸住宅における壁のDIY塗装の需要創出。部屋の退去時に、入居したときと同じ状態に戻す"原状回復"が賃貸住宅には課せられている。このため壁のペインティングは不可能であったが、「はがせるプライマー」を下塗りに用いることですべての塗膜を剥がせ、簡単に原状回復できるようになる。

「壁紙の上にペイントして部屋のデコレーションを楽しみ、退去時にはそれを全部剥がして原状回復をするという新たな発想。賃貸だからと部屋のデコレーションを諦めていた層に響くと思いますし、『壁のペインティング可』を掲示することで入居率が上がるなどオーナーさんへの訴求効果も期待できます」(担当者)と狙いを説明する。

7月18日の新製品発表会で紹介した「ミルクペイントforウォール」は、小物やクラフトなどのペインティングで女性層に支持を広げたヒット商品「ミルクペイント」で、室内かべ用に開発した新製品。アーリーアメリカンの色調、漆喰やモルタル、レンガの立体感を再現するメディウム、消臭、抗菌、クリーニング、防カビ、不燃に加え黒板機能を標準化した多機能性など「内装塗料の需要創出、ペイントDIYを世の中に広める、インテリアペイントのイノベーション」(松村社長)と自信を示す新製品。

「はがせるプライマー」も今年中の発売予定で開発を進めており、これまで不可能であった賃貸住宅の内装にも新たな需要を創造していく。