より消費者に近い存在に

今年3月、深澤筑紫前社長(現相談役)から引き継ぎ、新社長に就任した。圧倒的シェアを誇るニス製品については海外展開を見据える一方、国内においては品揃えの拡充に加え、新たなユーザー層の掘り起こしを狙う。「チャレンジングな姿勢を大事にしていきたい」と瀬川社長。抱負と展望を聞いた。


‐‐‐‐マーケットにおける貴社のポジションについてお聞かせください。

「主力のニス製品は、学校教材向けでシェア9割以上、売上メインのホームセンターの店頭で約7割のシェアを確保しています。いわゆるニスではトップシェアにありますが、少子高齢化により市場は更に縮小していくでしょう。さすがにニスでシェアを伸ばすという発想はありませんが、それでもやれることはたくさんあると見ています」

‐‐‐‐といいますと。

「1つは海外展開です。3月に韓国の展示会に初めて出展しましたが、現地のバイヤーから高い評価を頂きました。色味や仕上がり感など、現地の好みに合う製品開発に着手する予定です」

‐‐‐‐昨今のDIYブームをどう見ていますか。

「塗料も女性をターゲットにした製品が多く登場し、女性の感度をつかんでいます。そうしたブームが定着するか、一過性で終わるかは注視する必要がありますが、ペイントに関わらずいろいろなことにトライしようとする女性が多くなったことは間違いありません。特にキーワードとして重要なのは、オシャレであること、また手軽であることです。ただ他社を真似ても仕方ありません。汚れない、傷つかないなど保護機能を持つニスの良さを生かした製品で差別化を図っていく考えです」

‐‐‐‐ニスに強い自負を感じます。

「そうですね。和信化学工業から数えて100年にわたり、家具や楽器、建材で培ってきた技術とノウハウがあり、ニス技術においては世界でも最高水準にあると自負しています。現在は水性ニスが油性タイプを上回るまでに成長してきましたが、クオリティを確保しつつ、時代にあった商品を投入してきた歴史も大きな強みと自負しています」

‐‐‐‐家庭用塗料市場のシュリンクが続いています。打開策は。

「狭義な意味では確かにそうかもしれませんが、我々としてはお客様がいるところに商品を投入していくだけです。つまり今後はネット販売も含め、業務用だとか家庭用という垣根は崩れていくのではないでしょうか。事実、当社はホームセンターの店頭デモを年間のべ200件ほど実施していますが、一般の方からプロの方までたくさんの方が来られます。質問内容も木部塗料に関係することばかりでなく、塗料・塗装全般に関することや、店員でないと分からないようなことまで尋ねられます。要するにお客様にとっては、どこで買うかというより、何を買うかが重要です。そういう意味では、お客様に近いメーカーとして存在感を高めていることで勝機はあると思っています」

‐‐‐‐製品投入も積極的です。

「今春にはホームセンター向けに販売している木材保護塗料『ガードラック』のパッケージを刷新した他、木材防虫防腐剤『クレオパワー』を発売しました。木材防虫防腐剤の投入は当社にとっても大きな決断でしたが、幸い顧客から高い評価を頂いています。今後も新製品の開発に注力するなど積極的にチャレンジしていきます」

‐‐‐‐ありがとうございました。



瀬川義浩氏
瀬川義浩氏

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