1.連載のはじめに

実験計画法や機械学習を活用するなど、実験の進め方・解析の仕方など、有用な仕組みが整えられている。一方でどのような実験を組むかは自分で考えなければならない。ここではコーティングや分散・塗布・乾燥の実験を実際に行われる方々に、実験現場で役立つアプローチを紹介したい。この項では消泡剤を取り上げる。

2.消泡剤の統一的な説明がほしい

泡の表面、液体と気体の界面が安定なので、泡が消えない。消泡剤はその界面で働いて泡の薄膜を不安定化するのが役割である。ただその選定にあたっては、消泡剤は絶対的な物差しがあるわけではないので、これとこれを試してくださいとのお客様への推奨になることが多い。これは相溶性・不相溶性という相手が変われば、適切な消泡剤も変わる事実による。相溶性・不相溶性は、消泡剤添加によるハジキトラブルとも関係し、消泡効果とハジキ難さのバランスがカギとなる。

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もちろん組成や環境負荷の点から候補を絞ることはできる。BYKのカタログ(添加剤一覧表)では、主成分の組成区分や溶媒種、VOCに関するする記述もし、選定の手助けとなるように心がけている。また塗料系や塗装方式の類似性を基に、実績のある候補を選ぶこともできる。

 

3,入れ方・添加の仕方がとっても大事

ただバランスをとる以外にもう一つファクターがある。

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同じ消泡剤でも、添加する条件により効果と不具合の発生程度が変わることである。消泡剤の添加直後は大きな油滴の状態であるが、攪拌により油滴は次第に小さくなっていく。大きなままだと、液全体に拡散していない一方で、局所的にはハジキの原因となる。攪拌が継続し、あるいは攪拌強度が高く混合が進めば、消泡剤の油滴は小さくなる。ハジキはなくなる方向であるが、消泡効果も弱くなる。最適点は定性的な表現だが、この二つの間にある。ハジキがみられるようならば、工程のできるだけ前の段階でその消泡剤を添加するのがよい。不相溶で強力な消泡効果のあるものは、攪拌力がかかる分散時であるとか、攪拌時間が稼げるような段階での添加を考えてほしい。

4.まとめ

消泡剤をうまく使いこなせられれば、水系でのトラブルの多くは解消できる。ビックケミーのホームページや製品一覧表には、どの段階で添加するのが最良かを示したガイドをマップ形式で掲載しているので参考にしていただきたい。

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