日本塗料工業会は平成29年度需要実績見込及び平成30年度需要予測を発表した。平成29年度は前年度比100.8%の139万2,000トンと予測。平成30年度も101.0%の140万5,000トンとし、今年度並みの需要量になるとの予測を示した。

平成29年度需要実績見込では、前年度比で数量が伸びたのは、建築資材、道路車両・新車、電気機械、機械、金属製品、輸出、路面標示の7分野。中でも機械(105.9%)、電気機械(103.5%)は企業の設備投資が活発化したことで堅調に推移した。建設機械は、排ガス規制特需、外需が牽引した。また自動車新車は、国内生産台数が平成28年度の936万台から967万台(見通し)と需要が回復。無資格検査問題に伴う需要減退も新型車投入でカバーした。

一方で減少が目立ったのは、建物(98.9%)、構造物(98.4%)、木工製品(98.7%)、家庭用(96.8%)の4分野。建物は、民間、官公庁とも低調に推移したことに加え、秋口以降の天候不順が追い討ちをかけた。構造物も都市再開発等の案件が終息し、市況が低迷したとしている。

全体的には、工業用分野と建築汎用分野で明暗がついた格好。製造業関連の投資が活発化する一方、個人消費の停滞が市場の活力を弱めている構図が浮き彫りになった。

平成30年度需要予測において需要拡大に期待感を示すのが、オリンピック関連需要の顕在化と2019年10月に予定している消費税増税に伴う駆け込み需要。市況の反動から機械、電気機械、道路車両・新車の鈍化を見込む一方で、建築汎用分野は全分野とも成長を予測。今年度並みの需要を確保しつつ、官庁工事の増加や観光関連分野で上積みに期待する。

また変わらず厳しさを見せるのは自補修分野の道路車両・補修。実績見込で97.6%、需要予測でも97.8%と、若年層の車離れ、保険料率改定、衝突防止機能拡充などによる構造問題が市場の漸減傾向を見込む。環境対応及び生産性向上の両立により食い止めを図る。

ただ今調査は数量を指標としているため、塗料の付加価値性とは一線を画す。メーカー各社が耐久性向上や省工程化、機能付与などを積極化する中で、量から価値を評価する指標も求められている。