塗料販売店3,000店割り込む、販売額は増加

総務省は3月、2016(平成28)年以来5年ぶりとなる「令和3年経済センサス-活動調査」(以下経済センサス)をまとめた。その結果、塗料卸売業の年間販売額は、2016年比5.1%増の1兆8,829億5,900万円、商店数は332店減の2,793店となった。商店数は平成9年以降、過去最低を記録。塗料店の減少を顕著とした一方で、既存店で販売額を押し上げた。


経済センサスは、商業統計改め平成24年にスタートした調査活動で、5年おきに全国の事業所を産業分類別に年間販売額、商店数、規模別従業員数などを調査している。今回令和3年経済センサスは、令和3年6月1日に調査を実施。調査事項の内、売上(収入)金額、費用などの経理事項は令和2年の1年間を調査対象とした。

統計結果の公表を受け、本紙が塗料卸売業の結果を抽出したところ、年間商品販売額は1兆8,829億5,900万円、前回調査2016(平成28)年の1兆7,913億7,400万円億円から約920億円増加した。商店数は2,793店と3,000店を割り込んだ。

その他、総従業員数は、118人減の2万2,007人。従業員規模別商店数は、2人以下・567店(前回715店)、3~4人・728店(874店)、5~9人・871店(934店)、10~19人・450店(436店)、20~29人・97店(97店)、30~49人・50店(43店)、50~99人・21店(20店)、100人以上・9店(6店)。平均従業員数は、前回の約7.1人から約7.9人に増加。小規模店の減少傾向は前回も同様の傾向を見せており、既存店の中で従業員規模の拡大を進めている現状が浮き彫りとなった。

ただ、経済センサスの結果が単純に塗料販売業の現状を示したものとは言えない面もある。

経済センサスが定義する卸売業は、有体的商品を購入して販売する事業所を原則に①小売業または卸売業に商品を販売するもの②建設業、製造業、運輸業、飲食店、宿泊業、病院、学校、官公庁等の産業用使用者に商品を大量または多額に販売するもの③主として業務用に使用される商品を販売するもの-など。

加えて④製造業の会社が別の場所に経営している自己製品の卸売事業所(主として統括的管理的事務を行っている事業所を除く)⑤製造問屋(自らは製造を行わないで、自己の所有に属する原材料を下請工場などに支給して製品をつくらせ、これを自己の名称で卸売するもの)の記載もあり、メーカーの営業所やファブレスメーカーも含まれる。そのため年間商品販売額に関しては、流通段階での重複がカウントされており、更に従業員規模についても業態の異なる企業が混在している可能性があり、データの解釈には慎重さが求められる。

また販売額が増えた因果関係を調べるため、調査年である2015年と2020年の塗料出荷金額(日塗工)を比較したが、2020年(暦年)は2015年比約560億円減の6,219億7,700万円と真逆の結果。2020年はコロナ禍の影響を受けた年でもあり、塗料需要と乖離した状況となった。

とはいえ、都道府県別ではまだら模様の様相もあり、地域性の影響も小さくない。

全国47都道府県の内、前回調査より年間商品販売額が増加したのは、23都道府県、減少は24府県と二分した。

都道府県別で大きく伸長したのは、東京都42.8%増、長野県35.6%増、和歌山県35.3%増、鹿児島県34.8%増。その一方で、島根県60.7%減、徳島県36.4%減、香川県36.0%減、滋賀県35.0%減、北海道29.9%減の減少が目立った。

東京都は、商店数301店から300店とほぼ横ばいながらも従業員数は4,091人と864人増加。増加額も約1,500億円と24府県の減少額約1,090億円を大きく上回る伸長となった。従業員規模別も10人を超えるすべてのカテゴリーで商店数が増えており、従業員100人以上は3店増の7店と全国の約8割を占める。大規模店にはメーカー拠点も含まれると見られるが、東京の一極集中を顕著にしている。

各都道府県については、地元経済の特異性もありつつ、人口、総世帯数、就業者数、事業所数、着工新設住宅戸数の減少に対し、1人あたりの県民所得、製品出荷額、県内総生産額は総じて増加傾向を示した。

塗料商品販売額の増加を額面通り受け止めるならば、販路拡大や販売品目の拡充など販売店自体の付加価値化が進んだことが想定される。
(※都道府県別は新聞本紙にて順次掲載)



令和3年経済センサス活動調査
令和3年経済センサス活動調査

HOMENew Trend塗料販売店3,000店割り込む、販売額は増加

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