塗料卸売業、事業所数、販売額とも増加
平成28年経済センサス

総務省及び経済産業省は「平成28年経済センサス‐活動調査」をまとめ公表した。塗料卸売業の事業所数は前回調査(平成24年度)と比べ129増え3,125事業所、年間商品販売額は19.4%増の1兆7,913億7,400万円となった。従業員数は1,509名増え2万2,125名。事業所数、年間商品販売額、従業員数ともプラスに推移した結果となった。全体の事業所数は伸びたが2人以下の事業所数が747から715と下がった他、大都市圏である東京都、愛知県では中規模の事業所が増加。地方では販売額で明暗が目立つ地域も見られた。


塗料卸売業の事業所数は平成3年の4,592社をピークに下がり続け、前回調査では3,000の大台を割り2,996事業所となった。他の数値も減少傾向が続いたが、今回調査では好転した。依然として全体の80%以上が10人以下の事業所で構成されているが、2人以下の事業所数が減っており、少しずつ構造に変化が起きている。人材不足で次代の経営者がおらず店をたたむケースも増えてきていると推測される。

前回調査から年間商品販売額が2倍以上伸びた県は徳島県73億5,400万円(前回調査時30億5,100万円)、島根県62億7,000万円(同25億2,500万円)。2県は卸売業全体としても伸びている。一方で、富山県、京都府は年間商品販売額が前回調査時2分の1以下と急激な落ち込みが目立つ。

地域別に集計すると首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)は、事業所数は654、従業員は5,562名、年間商品販売額は5,185億6,400万円となった。4都県すべてで年間商品販売額が増加した。全体に占める割合はそれぞれ事業所数20.9%、従業員数25.1%、年間商品販売額28.9%となっている。

東京都は事業所数が下がったものの、20~29人が7店から13店、30~49人規模の事業所数が7店から12店と中規模層の数が増えている。それに対し2人以下の事業所が減少した。ただ、全体的には前回と比べても、首都圏一極集中の傾向は変わっていない。道路などのインフラ整備で移動時間の短縮が進みつつあるのに加え、地方都市から首都圏に進出し店を構えるディーラーも増加している。

中部圏(愛知・静岡・岐阜・三重)を見ると、事業所数は459、従業員数3,134名、年間商品販売額は2,711億300万円となった。全体に占める割合はそれぞれ事業所数14.6%、年間商品販売額14.1%、従業員数15.1%となっている。静岡県以外の3地域で年間商品販売額が増加する結果となった。

愛知県では10~19人の事業所が31から41と中規模の事業所が増えている。

近畿圏(大阪・京都・兵庫・和歌山)では事業所数456、従業者数3,464名、年間商品販売額3,082億8,700万円となった。従業員数が昨年と比べ減少した他、年間商品販売額の伸びは首都圏、中部圏に比べて鈍くなっている。前回調査で全体に占める割合はそれぞれ事業所数14.5%、従業員数15.6%、年間商品販売額17.2%となった。

大阪府は従業員数が2,426人から2,319人と減少した。事業所数では3~4人の事業所が53から61に、5~9人の事業所が64から72に増加したが、中、大規模事業所に大きな変化は見られなかった。

「経済センサス-活動調査」は事業所及び企業の経済活動の状態を明らかにすることを目的としており、前回は平成24年に実施されている。平成9年までは3年ごとに商業統計調査として実施。平成9年以降は5年ごとに「本調査」を実施していたが、全国すべての企業・事業所を対象とする「経済センサス」(基礎調査・活動調査)が創設され、既存の大規模統計調査の枠組みの見直しが行われた。従来の商業統計調査で把握すべき事項は「経済センサス‐活動調査」で把握することとしている。

卸売業には製造業の会社が別の場所で経営している自己製品の卸売事業所(管理事務のみを行っている事業所除く)、商品を卸売りしかつ同種商品の修理を行う事業所が含まれる。

塗料卸売業は塗料(油性天然樹脂、ポリエステル樹脂など)、エナメル、ラッカー、ペンキ、ペイント類、漆、しぶ、印刷インキ、パテなどを扱う事業所が対象。(参考:経済センサス-活動調査第七巻卸売業・小売業に関する集計その2産業編〈都道府県表〉)※都道府県別データは10月以降の本紙にて順次掲載していく予定です。



人数規模別の事業所割合
人数規模別の事業所割合
3大都市で見た塗料卸売業の数字
3大都市で見た塗料卸売業の数字

HOMENew Trend塗料卸売業、事業所数、販売額とも増加

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