塗料・塗装設備展に52社が出展

第5回塗料・塗装設備展〈コーティングジャパン〉(主催:RX Japan)が昨年12月7日から3日間、幕張メッセで開催された。「高機能素材Week」として同展の他、金属、セラミックス、フィルム、プラスチック、接着接合などの関連展が併催され、期間中は44,172名が来場した。

塗料・塗装設備展には52社が出展した。全体の傾向としては、カーボンニュートラルやサステナブル性を訴求した機能性製品の出展が目立った。以下、主要企業・団体の出展内容をまとめた。


■関西ペイント

関西ペイントは脱炭素の実現やQOLの向上などを切り口に、自社製品を訴求した。ブースでは遮熱塗料である「遮熱レタンECO」を紹介。塗装後の温度抑制効果は未塗装時と比べ62%抑制できる。高顔料濃度、高固形分での塗装を可能にする分散技術により、隠蔽性が向上。塗装回数の削減に寄与する。「エネルギー利用量の削減に寄与する遮熱塗料はカーボンニュートラルの取り組みにもなる。工場などにも提案していきたい」と説明する。
 その他、腐食電流を抑制する新たな技術を採用した新世代高性能塗料「ルビゴール」や電波吸収シートなど幅広い出展内容で技術をアピールした。

■大日本塗料

大日本塗料は各分野の水性塗料やカーボンニュートラルに対応する製品を中心に幅広い分野の塗料を訴求した。工業用としては水性塗料「AQウレタン」を出展。同品は従来の水性塗料から底艶を向上させ、正面に限らず側面からでも高い鮮映性を実現。豊富なカラーバリエーションで多様な色相要望にも対応。特に赤や紫原色など一般の建築用水性塗料では再現が難しい鮮やかな塗色も再現できる。

一方、カーボンニュートラルに貢献できる塗料としてプラスチック用メタリック塗料「ASS5000」を紹介。1コート、1ベイク仕上げで塗装工程の短縮や塗料使用量の削減につながる。高意匠性と2液相当の耐薬品性を実現した。その他、重防食塗料や内装用塗料などさまざまな分野の塗料を紹介した。

■イサム塗料

イサム塗料は新製品の「ベッドライナー ビースト」を披露。特殊ウレタン樹脂をベースとした2液塗料で、ボディーやバンパーに対し、意匠性と耐久性を付与できる。デコボコした塗膜で武骨なイメージを演出できる。専用ガンを使用することによりオリジナリティあふれた模様塗装も可能。ブースでは実際に同品を塗装した軽トラックを展示。展示車両後方の荷台部分には車両荷台木部用塗料「ウッドプロテクト」を塗装しPRした。

■日本塗料工業会

日本塗料工業会ブースでは久保孝ペイント、斎藤塗料、水谷ペイントが出展した。
久保孝ペイントは、次世代硬化系ポリエステル粉体塗料「ニッシンパウダー777ライン」を紹介。焼付後に黄変しにくく、美しいホワイトを保つことができる。要望に応じて耐擦り傷性や低温硬化(160℃×20分)などの機能を付与できる。「今年発売された製品。今後PRに注力していく」意向。

斎藤塗料は新製品である金属用高性能下塗り塗料「サイクロン・キワミ・プライマー」を披露した。強い密着力をはじめ、耐水噴霧試験で2,000時間以上剥離がない防錆力と、耐水性試験、耐湿性試験で1,000時間以上耐える耐水性が特長。また常温乾燥のラッカー塗料から粉体塗装までさまざまな塗料にも適合する。特化則、RoHS指令、PRTR対応と環境にも配慮した。「新時代のプライマー」として訴求する。

水谷ペイントは関連会社のエム・エイチ・エルで販売している樹脂製品を中心に出展した。超高耐候性シリコンアクリルエマルション「G-10」や高耐候性と抗菌性を有する「G-70」を紹介した。「塗料メーカーがつくっている樹脂製品として周知を広げていく」と認知向上に努める。

メーカーブース以外にも、今回は「POWER OF COLOR」と題し、メタリックやパールなど塗料の彩りの豊富さをアピール。「塗料にはモノを保護することに加え、無限の色数があることを周知させたい」と色の魅力を訴えた。

■日本塗装機械工業会

塗装に関する相談窓口として出展した日本塗装機械工業会。「『塗装ブースを新たに検討しているが設備について知りたい』『塗装をしてくれる会社を探している』など、さまざまな相談が寄せられている。相談を聞きながら1つ1つ丁寧に説明し、課題解決のヒントにしていただければ」(担当者)と話す。ブースでは来場者の相談に対応する会員の姿が見られた。

■アクゾノーベルコーティング

初出展のアクゾノーベルコーティングは、サステナビリティの取り組みを訴求した。工業用塗料では機能性粉体塗料「RESICOAT」を紹介。融着エポキシ樹脂を使用し、電気絶縁性、優れた付着性や均一性といった特長を持つ。「環境負荷軽減などの観点から溶剤からの切り替えも増えている。また、EVのバッテリーシステムなどの用途にも展開している。日本でも需要が増えている」と現状を説明した。その他、船舶用塗料や重防食塗料も出展した。

■BASF

BASFは光安定剤「Tinuvin(チヌビン)」やアクロナールなどの機能性添加剤を訴求した他、マスバランスアプローチと呼ばれる手法でサステナブルの取り組みを進める。一部の原料をバイオ素材などで代用することで環境負荷を軽減する手法で、製品の品質や性質を変えずに温室効果ガスや化石原料の投入量を削減することができる。既存の製法、設備、工程変更も不要で、同社は「バイオマスバランス製品の製造に注力することでサステナブルな社会の実現の一助としたい」と説明した。

■NCC

工業用塗料ディーラーのNCCが出展。韓国・KCC社の工業用塗料を紹介した。機能性粉体塗料「KARUMEL」は300色以上の常備色があり、金属調やパール調、石目調など豊富な模様も揃える。アクリルクリヤー、難燃絶縁、帯電防止、耐熱の4モデルがあり、求める性能よって選択が可能。「特に耐熱モデルは300℃まで耐える日本にはあまりない特長を持っている」と独自性をアピールした。

一方で、中国国内限定で販売している工業用水性塗料「TANシリーズ」もPR。日本にはない高物性のポリウレタン水性焼付タイプの塗料。VOC規制で塗料を輸入できないといった問題を解決するための塗料で、中国に進出している日本企業向けに販売していく。

■アンデックス

塗装ブースを中心に出展したアンデックスは水平流プッシュプル塗装ブース「CAB-H2」を出展した。現在主流の上下流に比べ、必要風量が少ない省エネルギー型の塗装ブース。必要風量が約3分の1になることにより、バーナーの熱量・ファンの風量ともに約3分の1となり、ランニングコストの大幅な削減につながる。横部や上部など風の流れを変えられるため、被塗物によってさまざまな使い方ができる。「自動車補修をはじめ、航空機関係や工業用塗装工場など幅広く使用できる」とアピールした。

■大気社

大気社は開発中のフィルム真空成型技術を用いたOMD(Out-Mold-Decoration)ドライ加飾システムを出展した。従来のスプレー塗装に比べ、省スペースで省エネルギーなラインを実現できる。CO2排出量も50~60%削減できる。材料費は塗料よりも高額だが、排水、廃棄処理装置も不要で、ランニングコストや清掃の手間などが少なくて済むメリットがある。従来、塗料をはがす手間から塗装済みのワークは捨てられているのが現状だが、同システムはフィルムをはがせるため材料ワークのリサイクルが可能。「塗料や塗装設備で環境負荷低減を実現するには限界がある。抜本的に加飾方法を変えることで環境負荷も少なくなる」とメリットを説明した。同システムは3年をめどに実用化していく予定。

■栗田工業

栗田工業は粉体塗用料貯蔵庫を新たに開発し、初披露した。断熱パネルで熱をシャットダウンした上で、庫内にはエアコンを設置している。大きさも0.5坪単位でオーダーが可能。夏には暑さで粉体塗料が溶けるという事態が何件か発生しており、その防止策として開発した製品。「品質の安定化に加えクレームの防止にもつながる」として販売を積極化していく。

■楠本化成

バイオベースの添加剤をメインに出展した楠本化成。開発品であるバイオ添加剤「BALシリーズ」を参考出展した。バイオベース度90%のアルミやパールの配向制御、つや消し剤のムラや焼付時のワキを防止できる。「添加剤は塗料には1~2%配合されているが、揮発分が飛ぶと塗膜中に占める添加剤の割合は高くなるため、添加剤からのバイオマス化も重要になっている」と説明。環境対応製品もより拡充させていく。

■山本通産

山本通産は商社機能を生かし、幅広い分野の商品を紹介。その中で、新たな製品として出展したのが塗膜測定器「Rhopoint TAMS」。ブツだけでなくゆず肌と表面の粗さの品質検査が可能。2段階のフォーカス機能で像の歪みを測定しコントラスト評価、鮮映性、ゆず肌などの指標を組み合わせることで塗装のクオリティを評価する。「自動車の品質の安定化などに寄与する」として同品を訴求していく。



関西ペイントブース
関西ペイントブース
大日本塗料ブース
大日本塗料ブース
ベッドライナー ビーストの塗膜
ベッドライナー ビーストの塗膜
日本塗料工業会ブース
日本塗料工業会ブース
日本塗装機械工業会ブース
日本塗装機械工業会ブース
アクゾノーベルコーティングブース
アクゾノーベルコーティングブース
NCCブース
NCCブース
アンデックスブース
アンデックスブース
OMDで貼られたフィルム
OMDで貼られたフィルム
栗田工業の粉体塗料用貯蔵庫
栗田工業の粉体塗料用貯蔵庫
塗膜測定器「Rhopoint TAMS」
塗膜測定器「Rhopoint TAMS」

HOMENew Trend塗料・塗装設備展に52社が出展

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