第1位
原材料高騰が長期化 
価格改定の動きも需要減に影響

昨年からの塗料原材料価格の高騰は今年も衰えることなく塗料メーカーを直撃した。原材料を海外に頼る状況では、資源高を円安が助長することで物価が上昇している。塗料メーカー各社は価格改定を進めるものの、デフレを加速させてきた国内市場における価格改定の難しさを露呈、収益悪化となっている。コロナ禍からの需要回復傾向が見られたものの、原材料高騰が需要回復の足かせとなった。

第2位
業界に日常の光景戻り始める
団体総会、販売店フェアなど再開

コロナ禍で軒並み中止となっていた業界団体の総会や塗料販売店の展示即売会、各種のイベントなどが再開され始めた。全国団体の日本塗装工業会と日本塗料商業組合は5月に総会・総代会を3年ぶりに対面で開催。新執行部への組織変更も伴い、新たにスタートを切った。塗料販売店も各地でユーザー向けの展示即売会のリアル開催を再開。多くの来場者でにぎわうなど、業界の日常の光景が戻りつつある。

第3位
粉体新工場を国内で新設へ 
関西ペイント

関西ペイントは連結子会社の久保孝ペイントによる100%出資の粉体塗料製造新会社を2022年12月に設立、同時に兵庫県赤穂市に粉体塗料工場を新たに建設すると発表した。これにより関西ペイントグループは国内の粉体塗料工場は2拠点となる。環境対策及び塗装工程に省人化が図れる粉体塗装の拡大を見据えた投資であり、生産体制強化を図る国内生産拠点の新設が市場に与えるインパクトは強い。

第4位
製販装オンライン発注システムを開発 
日本ペイント

日本ペイントは10月、塗料メーカー、塗料販売店、塗装会社を一元化した塗料受発注システム「GOOD JOBシステム」をリリースした。塗料販売店から専用コードを取得した塗装会社は、自由な時間に日ペ製品を注文することが可能。一方塗料販売店は、顧客からの注文を同一システム上で発注できる利便性がある。ただ、販売データが明るみになるのではないかとの懸念もあり、導入に慎重な動きも見られる。

第5位
直取引塗装店2,000社突破 
アステックペイント

建築用塗料メーカーの新興勢力・アステックペイント(本社・福岡市)の存在感が高まっている。塗料流通(販売店)を介さず、個別の塗装店との直取引のビジネスモデルで2000年に事業をスタート。同社と直取引を行う塗装店は2021年に2,000社を超えた。国内の塗装専門工事業者の10社に1社以上が直取引している計算になり、既存の塗料メーカーや販売店の間で今年、関心の高い話題となった。

第6位
特定技能外国人、建設塗装にも 
外国人材の戦力化に期待

建設塗装の懸案だった「特定技能外国人制度」が大きく動いた。政府は特定技能外国人が従事できる業務区分の統合を8月30日に閣議決定。建設業におけるすべての職種が特定技能の対象となり、建設塗装、鋼橋塗装の企業も特定技能外国人の受け入れが可能になった。現行の外国人技能実習生が、より長期間日本での就労が可能な特定技能へのスライドを実現。外国人材の戦力化が進むことになる。

第7位
化学物質規制見直しへ
厚生労働省

来年から労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則が見直される。GHS分類に基づき、危険性・有害性が認められた物質を順次規制対象に追加。規制物質の暴露を最小限にし、国が定める濃度基準がある場合には暴露が濃度基準値を下回るよう配慮することを定める。達成する手段はリスクアセスメントの結果に基づき事業者が適切に選択しなければならない。化学物質の管理により厳しい規制が課せられる。

第8位
部会員の経営をサポート
日車協青年部会

日本自動車車体整備協同組合青年部会は会員企業の経営力向上を目指す経営プロジェクトを本格始動した。同じ板金塗装業を営む幹事メンバーがモデル企業に対し具体的な経営支援を行うというもの。モデル企業2社の財務状況などを開示しながら、課題の抽出やそれに対するアクションを繰り返した結果、2社とも利益が向上する結果となった。業界団体の常識を超えた事業で経営基盤の強い会員企業をつくる。

第9位
過去最多、1万6,000トンに迫る 
高日射反射率塗料統計 

高日射反射率塗料(遮熱塗料)の2021年度の全出荷量は、前年比15.6%増の1万5,953トンとなり、調査開始以来、過去最多の出荷量を記録した。コロナ禍で減少に転じた2020年度を押し返した格好。高付加価値化を顕著にする塗り替え市場において、省エネ、節電に寄与する環境技術が需要を後押ししたと見られる。内訳は、建築用が18.4%増の1万5,591トン、道路用は44.4%減の318トン。

第10位
ニシイ、武蔵、日進 異色コラボが始動 
断熱塗料「ガイナ」ベトナムで事業化

塗料商社大手のニシイと武蔵塗料ホールディングスは共同で、断熱塗料「ガイナ」のベトナムでの展開を始めた。「ガイナ」の製造元・日進産業を交えた3社の協業体制を確立、ベトナムでの展開を本格化させる。現地でのマーケティングで「ガイナ」の市場性を確認、武蔵塗料HDの現地工場での生産も視野に事業化を図る。工業用塗料と断熱塗料の異色メーカーによるコラボレーションが注目される。

番外編
工業用塗料がホビー分野で"バズる" 
斎藤塗料

ゴムやスポンジなどの軟素材に密着する斎藤塗料の特殊ウレタン樹脂塗料「ウレヒーロー ラスクリ」が3月、東急ハンズ新宿店での店頭販売を皮切りに、手芸店やプラモデルショップなど一気に販路が拡大した。きっかけは、ゴム手袋に同品を塗布した動画投稿。造形やコスプレ愛好者の目に留まり、SNSの表示数を示すインプレッションは54万件を超え、多数に拡散される"バズる"現象が起こった。