日本塗料工業会は、2023年度(4月~3月)の塗料出荷統計をまとめた。その結果、出荷数量は対前年比2.1%減の150万4,879トン、出荷金額は3.3%増の7,321億6,800万円となった。数量は2年連続減少、金額は2年連続の増加となった。2022年度から本格化した価格是正活動が金額面を押し上げる結果となった。

2023年度統計は、2023年5月に新型コロナウイルスの感染防止対策が5類に引き下げられたことで需要回復に期待が集まったが、需要ベースでは低調な1年となった。生産数量も前年比1.2%減の144万9,576トンと2年連続で減少を強いられた。

出荷数量による品目別推移を見ると、全20品目中、前年より伸長したのは、水性樹脂系(106.7%)、アクリル焼付(103.4%)、エポキシ樹脂系(103.2%)の3品目のみとなった。

自動車向けの回復を顕著に示した一方で、2ケタ減を示した品目は、厚膜型エマルション(89.3%)の1品目。その他、不飽和ポリエステル(90.7%)、アルキドさび止め(92.2%)、粉体塗料(92.7%)の低調が目立った。

一方、出荷金額は数量と異なるトレンドを示し、前年より伸長した品目は15品目と7割を超える結果となった。

反対に前年より減少したのは、厚膜型エマルション(94.3%)、トラフィックペイント(96.6%)、不飽和ポリエステル(99.3%)、粉体塗料(99.4%)の4品目のみとなった。全体的には、低調な需要を価格改定で下支えする構図がうかがえる。また価格改定の指標となる平均販売単価においては、着実な増加傾向を続けている。

直近4年の平均単価の推移を見ると、2020年度398円(前年比0.1%減)→2021年度412円(3.6%増)→2022年度461円(11.9%増)となり、2023年度は5.4%増の487円となった。

値上げのピークは、2022年度下期から2023年4月に集中しており、4月以降は大きな単価の変動はなし。個別品目でも前年より単価を下回った品目はなかった。

2024年度は需要の回復が期待されるが、日塗工は2024年度の需要を2023年度並みと予測しており、厳しい市況が続く見込み。更にここにきて製品値上げの気運が高まってきた。既に価格改定を表明するメーカーも出ているが、今年秋までに本格化する雰囲気が高まってきた。価格改定で収益を確保する状況が当面続くと見られる。

なお、純出荷数量は0.8%減の129万5,795トン、純出荷金額は4.9%増の6,121億1,800万円。