東京大学大学院工学系研究科の研究グループと日本ペイントは、抗ウイルス材料及びコーティングの開発段階での実験方法(ハイスループットスクリーニング系)を新たに共同開発した。

同研究は2020年5月18日に締結した産学協創協定に基づく共同研究の一環によるもの。

ハイスループットスクリーニングとは、主に創薬やバイオマーカーなどにおいてよく使われる、膨大な数の化合物などから候補物質を迅速かつ効率的に選別するプロセスのこと。今回の研究では多数の抗ウイルス材料の候補となる物質の抗ウイルス活性の評価を迅速かつ効率的に評価するシステムへと応用している。

今回開発したシステムでは、大腸菌に感染するウイルスであるファージの一種であるM13ファージと、ファージミドベクターと呼ばれる人工DNA分子を活用することにより、従来のシステムよりも効率的なスクリーニングが可能となる。

実際に同スクリーニングシステムを活用して市販の抗ウイルス材料及びコーティングの活性を評価し、接触時間依存的な抗ウイルス効果を明らかにした。

このスクリーニングシステムにより、抗ウイルス材料及びコーティングの開発研究が加速し、ウイルス感染リスクの低減に貢献すると期待される。

東京大学の研究グループと日本ペイントは、産学協創協定の共同研究テーマの1つである「抗ウイルス・抗菌機能を有し、感染リスク低減を実現するコーティング技術の研究」において、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの中で人々が受けるリスクを減らすべく共同研究を行っている。