特注色エアゾールの少量対応を開始
ビジネスユーザーにDIY需要の芽

ニッペホームプロダクツは、日塗工色及び塗色サンプルからの特注色オーダーに対応するエアゾール製品の注文数量を7月に12本セットから6本以上に変更して以降、販売量を飛躍的に伸ばしている。購入者は、製造業や試作品などを手掛ける企業で、タッチアップや部品などの小物塗装が主な用途。その他、少量タイプの商品もビジネス向けに新たな需要を生み出しており、DIY塗料の成長性に活路が見えてきた。


フタル酸、ラッカー、アクリルの3種類を揃え、ノズルも丸吹きと平吹きの2タイプを有する「ニッペ タッチアップスプレー」を発売したのは昨年4月。日塗工色及び塗り板サンプルからの調色オーダーに対応するのが最大の特長(いずれも近似色対応)で、試作品や精密ネジなどの小型部品の塗装や傷補修など、用途は多岐にわたる。

局面が変わったのは、今年7月。それま12本セット(1本300ml)を最小ロットに販売していたが、ユーザーから小ロットを求める声が高まり、6本以上の注文に対応する「ニッペタッチアップスプレーS」を発売した。すると「比較すると5倍以上の伸び」(担当者)と想像以上の反響が得られた。販売は同社オンラインショップのみで卸対応はないが、塗料販売店が情報提供として顧客に紹介するケースも増えているという。

価格は、6本セットで定価1万1,880円。現在は期間限定セールで9,900円(税込)で販売している。商品ロットの縮小は、生産の負荷増大や収益に直結するが、「12本セットも変わらず伸びている」(担当者)とリピート需要も生まれており、特注色対応を売りにした小ロット対応が潜在需要を浮き彫りにした形だ。

アパレルショップが塗料を使う

DIY用塗料を包括する家庭用塗料市場は、この数年漸減傾向を続けている。ユーザーの高齢化やマンションの増加といったライフスタイルの変化により、かつての"日曜大工"に支えられた維持・補修需要が減少。維持・補修需要を代替するマーケットとして、自分好みの暮らしを楽しむ女性層をターゲットに、ホビー向けやインテリア向けの販売展開を強化するも市場全体の底上げには至っていない現状がある。それでも効果的なプロモーションや商品開発で需要に結びつけている事例もあり、個人や不特定多数のユーザーを包括した"家庭用塗料"という思考では捉えられない時代に入ってきた。

そうした潮流の中で同社は、ビジネスユーザーをターゲットにした展開を強めている。

同社は今年7月、東京ビッグサイトで開催された「賃貸住宅フェア」に出展。壁紙にも塗れるインテリアペイント「STYLE」の紹介を兼ねアンケートを実施したところ、来場した賃貸オーナーからセルフペイントに高い関心が寄せられたという。

既に入居前の修繕コストの低減や空室対策として、賃貸オーナー自らが自己物件の内装をペイントするケースが見られるが、まだまだ局所的な動きにとどまっている。

そこで同社は、素人でも塗りやすく、隠ぺい性を高めた内装用塗料にローラーやマスキングテープなどの副資材をセットにしたペイントキットを加え、賃貸オーナーに広く展開していく方針。賃貸オーナーに塗装を啓蒙する背景には、複数の物件を所有するオーナーやオーナー同士のネットワークの存在などリピート需要につながりやすいとの期待がある。

この他にもビジネス向けで興味深い事例が出てきた。

数年前に同社が小物塗装向けに開発した「PENCURE(ペンキュア)」がファストファッションを展開するショップ全店に採用された。同品は、容器先端にスポンジがついたプッシュタイプ、キャップ裏面に刷毛を付けたブラシタイプ、スプレータイプの3つを揃えた1本25mlりの水性塗料。塗装用具を不要にした簡便さが特長で、微細部分の塗装や文字や絵柄を楽しむことができる。

日中、多くの客が出入りするショップでは、衣服を置く棚や什器に汚れやキズが付着することから、そのショップでは店員にペンキュアを持たせ、汚れやキズをペイントで消す方策を見出した。

他にも店舗の美観を目的とした引き合いが寄せられているとし、BtoB向けにDIY塗料の新たな可能性が生まれている。



ニッペタッチアップスプレー
ニッペタッチアップスプレー

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