高機能塗料展2020 主要メーカー各社の主な出展内容

高機能塗料展が2020年12月2日から3日間、幕張メッセで開催された。「高機能素材Week」として併催する金属、セラミックス、フィルム、プラスチック、接着接合展と合同で開催され、期間中は1万8,049名が来場した。塗料関連では抗菌・抗ウイルス製品が目立った他、塗装機器メーカーの出展も多く見られた。


抗ウイルス効果を前面に
関西ペイント

関西ペイントは新製品として感染対策マットを紹介した。しっくい塗料をコーティングすることで靴の裏に付着した菌やウイルスを不活性化できる。オフィスなどの入口に置くことで屋外からの菌の侵入を防ぐ。1~3カ月で交換することを推奨する。その他、漆喰製品を前面に出しマスクケースやアクリル板、災害時に使用できる簡易ベッドなどアレスシックイを塗布した製品を紹介した。

抗菌添加剤を初出展
大日本塗料

大日本塗料は臭気の低減に加え、抗菌・抗ウイルス効果を付与した内装用塗料「Cozy Pack Air(コージーパックエアー)」を出展。また焼付塗料に抗菌性を付与できる添加剤を出展した。「医療機器など焼付塗装仕上げの工業用製品にも抗菌化が求められている」として拡販を図る。同じブースで出展したDNライティングは除菌装置「くりんクリン」シリーズを紹介。紫外線ランプで空間に浮遊、表面に付着しているウイルスや細菌を除菌する。空気を吸い込み、ランプで除菌、除菌した空気を放出するというシンプルな設計で開発コストも抑えた。

工業用製品の認知向上を進める
アクサルタコーティングシステムズ

アクサルタコーティングシステムズは絶縁ワニスの「Voltatex4224」を展示。同品は2019年R&D100賞(米)にも選ばれた熱伝導型含浸ワニスで過酷な条件下での電気モーターへの使用を視野に入れ開発された。熱を逃がしやすい顔料を使用することで従来品の4倍の放熱性を持つ。さまざまな含浸プロセスに対応可能で乾燥時間も短い。その他工業用水性塗料「IMRON HYDRO」や粉体塗料「Alesta」を出展した。

荷台の木材を強力に保護
イサム塗料

イサム塗料は大型車両木部保護塗料「ウッドプロテクト」を紹介した。同品は荷台の木部に塗ることで強靭な塗膜を形成し雨や紫外線などの外的要因からの劣化を抑える。荷台への緩衝材として使用されている木材は荷物の出し入れや輸送時の振動などで擦り減ったり割れたりすることがある。同品を塗ることで木材の張り替えなどのコストを抑えられる。その他、自動車の錆を防止する「ハイアートCBエコ防錆コート」を紹介した。

加盟メーカー4社が出展
日本塗料工業会

日塗工ブースでは4社が出展。アトミクス、オリジン、久保孝ペイント、斎藤塗料が自社の注力商品を紹介した。
アトミクスは、水性硬質ウレタン塗り床材「フロアガードUシリーズ」を出展。水性で幅広い付着性が特長でさまざまな床面に強力に密着、保護する。「水性は性能が悪いという先入観を持っている顧客も多い。丁寧に説明し払拭したい」と説明した。
オリジンはノンスリップ塗料「UV GS」を出展。同品は塗装、硬化するとグリップ性が付与でき、質感もソフトでべたつきもない。新開発製品として今回は艶あり、艶消しの2タイプを展示した。同社では自動車の内装などを見据え、展開していく。
久保孝ペイントは超厚膜下塗り塗料「ShortTimeプラサフ」を出展。垂直面に100μm塗ってもタレ、ワキが起きにくく、塗装面を手直しする時間を削減。レベリングが良好で研磨で肌を整える時間を削減できるなど時短にこだわった製品。「塗装工場でも生産性向上が求められており、少しずつ実績ができている」と説明した。
斎藤塗料は2液型ウレタン樹脂塗料「ウレヒーロー ラスクリ」を紹介。柔軟性と伸縮性があり、金属やプラスチックの他、ゴムのような柔軟性があるものにも密着する。塗膜は耐水性、耐薬品性、耐溶剤性に優れている。「さまざまな案件をいただく中でまずは一歩ずつ丁寧に提案していく」と着実に対応していく。

合同出展で訴求力高める
サメス・クレムリン/明治機械製作所

サメス・クレムリンと明治機械製作所は合同で出展。サメスは粉体ハンドガン・コントローラーセットの「イノカート」を紹介。塗着効率が高く、入り込み性が高いのが特長。新制御技術でワーク距離ぎりぎりまで高電圧を維持できる。吐出量などに応じて4機種をラインアップしている。
明治機械製作所は新型センターカップスプレーガン「FINER CORE」を出展。美しさや使いやすさにこだわったデザインが特徴。高微粒化技術「MMFT」により、最適な微粒化性能を実現。流量コントロール性能や引金過重を最適化した高性能センターカップガン。ブースでは実際に手に取って手触りなどを確認する来場者の姿があった。

次世代スプレー「EAコーティング」
アネスト岩田

アネスト岩田は圧縮空気を使わず静電気のみで霧化させる方式の「EAコーティング」を紹介した。ノズルと被塗物の間の荷電のみの構造で、静電気で引っ張り出された液滴が静電爆発を繰り返し分裂することで霧化させる。 EAコーティングは圧縮空気を使用しないためダストの飛散が少なくマスキングレスで部分塗布が可能となる。また、付きまわり性が非常に優れるため、細いワイヤーなど細かい部品は回転させることなく裏側まで塗布できる。
塗着効率が非常に高いため、塗料使用量削減及び排気削減を実現する環境に配慮した次世代スプレーコーティングとして提案する。 また、社会的に関心が高まっている除菌に関して、除菌液塗布キットを紹介した。スプレーガン、ミニコンプレッサなどをセットで販売し、スプレーガンで素早く手軽にムラなく除菌できることを提案していた。

塗着効率100%、インクジェット技術
ABB

産業用ロボットメーカーのABBは自動車塗装の革新的手法となるノンオーバースプレー技術「Pixel-Paint」を紹介。塗着効率100%を実現している。 インクジェットノズルを組み合わせた可変液滴制御方式を採用しており、20~50μmサイズの液滴を毎秒1000個以上の速度で塗布することができ、膜厚を正確に制御できる。「性能のカギはノズルの設計。インクジェット型ヘッドには1000個以上のノズルがあり、それぞれを個別に制御できる」ため、塗料のムダを省き画像印刷が可能となる。

ロボットティーチングレス化
IEC

塗装システム設計などを展開するIECは粉体塗装のロボットティーチングレスシステム「3D-IC」を出展。粉体塗装のハンドガンによる補正の削減を提案する。 塗装ブースの入口に設置した高精度レーザーセンサーが被塗物のデータを収集し、それを高速演算し瞬時にロボット動作ポイントに転送することで、少量多品種生産の粉体塗装において効率アップにつながる。3Dレーザースキャンシステムはロボットを選ばないため、既存ロボットがそのまま使用できる。

塗装ブースを簡素化する塗装システム
大気社

大気社は静電霧化塗装システム「i-ESTA 100TE」を出展した。塗料を電気力線に沿ってワークに塗着し、スプレーに圧縮エアを使用しないため飛散による塗着効率低下がない。そのため塗着効率100%を達成するという。同システムは塗装機・ロボット、高電圧コントローラー、定量供給装置の構成となっており、飛散がほとんどないため塗装ブースの付帯設備を簡素化できる。供給設備の小型化、排気処理設備の小型化及びドライ化により設備コスト削減を提案する。



関西ペイントブース
関西ペイントブース
大日本塗料ブース
大日本塗料ブース
イサム塗料ブース
イサム塗料ブース
日本塗料工業会ブース
日本塗料工業会ブース
アネスト岩田ブース
アネスト岩田ブース
IECブース
IECブース

HOMENew Trend高機能塗料展2020 主要メーカー各社の主な出展内容

ページの先頭へもどる