建築物における現状として、住宅着工数は2009年以降、人口減少や世帯数の伸びの鈍化で減少傾向にあります。一方で改修を含めた木造建築物に関しては、公共建築物を中心に『公共建築物等木材利用促進法』を背景に一定の伸びを示していますが、一般住宅に関しては木造建築の新設・改修需要は、一部の低層住宅に需要が集中しており、それ以外の中高層共同住宅や非住宅はまだまだ木材需要拡大の余地があります。

その需要拡大のためには、我々塗料メーカーとして単に商品のコストダウンや仕上がりの向上だけでなく、その用途に応じた機能性を付与させることで、木材を保護するための存在であった塗料ではなく、新たな価値を提供できる存在にならなければなりません。同時に建築木部が敬遠される要因として、木部塗装は難しい・クレームが多い・色作りが難しいなどと言った声を多く聞くことがあります。この問題の解決なくして需要拡大は困難であると考えます。よってこれらの問題を我々和信化学は塗料の開発だけではなく、長年培ったノウハウを活用したクレーム対応のシステム化や、カラーやトレンドの提案をシステマチックに展開出来るソフト面を充実させ、自社のリソースをフルに活用したサービスの拡充を強化していくことが需要拡大の鍵と考えます。

そして既存の建築木部用需要にこだわらず、新たな木造建築市場を創出できるメーカーを目指していくことを目標とします。(寄稿)