シェア奪回へ、屋根用塗料キャンペーンを実施

日本特殊塗料は建築塗料事業の展開を加速させる。9月1日から11月30日までの期間限定で屋根用塗料の販売キャンペーンを実施しており、「屋根用塗料のシェア奪回」へ向けた動きを強める。一方、外装塗料に関しても高グレード品の商品力を一段と強化した他、自動車の吸・遮音材や航空機用塗料で培った独自技術を建築用塗料の開発に応用、新たな用途開発も進める。競争の激しい市場で独自色を打ち出しプレゼンスを高める。


同社は今期、「屋根用塗料のシェア奪回」を掲げ、塗料事業の動きを活発化させている。一時期、遮熱塗料のトップメーカーとして屋根用塗料でのシェアを高めていたが、競合他社の追随と遮熱塗料の氾濫で後退、シェア奪回の機会を窺っていた。

今期は社内にプロジェクトチームを立ち上げて販売活動に注力、「全地域での取り組みによって前期比2割近い伸びを示している」(塗料事業本部・鈴木裕史本部長)と拡販施策の成果が出始めている。汎用シリコンタイプの屋根用塗料がコンスタントな売れ行きを示していることに加え、屋根用の万能下塗り塗料「エポラオールプライマー」がヒットの兆しを見せているという。

同品は、鋼板や非鉄金属、住宅屋根スレートなどほとんどの屋根下地に適応する弱溶剤万能プライマー。「スレートと金属の役物など下地ごとに下塗りを使い分ける必要がなく、作業効率や在庫面も含めて業者さんに好評」とし、屋根塗装の現場でユーザーの支持を集めている。

そして、このエポラオールプライマーの好調さに乗じて拡販を仕掛けているのが、屋根用のフッ素樹脂塗料だ。自社最高グレードのフッ素樹脂塗料を屋根用の市場で定着させることで、一段高いポジションを目指したい考えだ。

このため同社は、屋根用フッ素樹脂塗料の「リリーフNADフッ素」と屋根用フッ素樹脂遮熱塗料の「パラサーモフッ素」を対象製品に、9月1日から11月30日までの期間限定で販売キャンペーンに乗り出した。

キャンペーンでは、それぞれ売れ筋の3色に限定することで量産効果を引き出し、「お客様にとってインパクトのあるお買い得価格を実現できた」(同)とし、販売を強化する。

「リリーフNADフッ素」及び「パラサーモフッ素」と、下塗りとして人気を集める「エポラオールプライマー」との組み合わせで、「作業性、仕上がり感、高耐久仕様のグレード感のいずれも秀でており、一度使っていただければファンになっていただける」との自信からキャンペーン価格を打ち出し、攻勢を強める。屋根用塗料の市場でフッ素樹脂塗料を定着させ、シェアアップと高付加価値展開を狙う。

一方、外壁用塗料においても製品の強化を図った。同社の製品をクローズで展開するニットク・アメニティシステム連合会(NAS会)の専用商品「シルビアセラティーN」で、従来のツヤ有に加え、半ツヤと3分ツヤを新たにラインアップ、意匠面での対応力を強めた。

同品は水性の有機無機ハイブリッド塗料で、「無機成分が極めてリッチなため、耐汚染性と耐久・耐候性での差別化が明確な外壁用塗料。市場からの要望が高まっている低光沢の塗料を、性能を犠牲にすることなく開発できたことで更に競争力が高まる」とし、NAS会との連携で拡販を進める。

独自技術応用、差別化展開へ

これら屋根、外壁用塗料とは別に、同社ならではの製品展開も加速させている。その1つが吸音天井材専用の水性エマルション塗料「NTキュウオンコートエコ」だ。一方の主力事業である自動車の吸・遮音材技術を応用、独自性の強い製品開発に生かした。

同品は、ジプトーンなどの吸音天井材の塗り替えで効果を発揮する水性塗料。同天井材の塗り替えで多用されている通常のエマルション塗料は、天井材の細孔を硬い塗膜が覆って音が乱反射し、会話に支障をきたすなどの弊害が指摘されていた。

NTキュウオンコートエコは独自の塗料配合と特殊顔料系を使用することで柔軟で多孔質な塗膜を形成、天井材の吸音性能を阻害せず良好な音環境を保つ。吸音率を測る実験では、幅広い周波数帯で塗装前の天井材とほぼ同じ吸音率を示し、通常のエマルション塗料との違いを明示。VOCフリーに加え、有害物質や悪臭の吸着・脱臭機能などの環境適性、不燃認定も取得し内装塗料としての説得力を高めた。

「オフィスの入退去に伴う原状回復や学校の改修など吸音天井材の塗り替えは一定の需要があり、専用塗料としての認知を高めていく」とし、競合品のない独自性を強みに市場開拓を進める。

更に、独自性の観点では航空機用塗料技術の横展開でも実績が出始めてきた。鋼構造物や建築物に向けた超撥水塗料として「スカイハローHAS」の製品名で一昨年に上市。水滴の付着を防止したい部位やサビの発生を極度に嫌う箇所など特殊用途での採用が始まっている。

「水をはじく撥水機能がずば抜けていることに加え、撥水塗料の弱点であった効果の持続性を大幅に改善、リコート性も持たせたことで実用性が格段に高まった」と説明。従来の撥水塗料の概念を超えた"超撥水塗料"として用途開発を加速させるなど、塗料事業全体で熱量が上がってきた。



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