着色剤で塗りムラ防止、遮熱クリヤーを投入

ミラクールは昨年夏に水性遮熱塗料「ミラクールAQ1000」を上市。そこに新たに上塗りの上に塗装する「ミラクールAQクリア」も発売した。汚れが付着し遮熱機能を阻害するという遮熱塗料の弱点をクリア塗料で解決。着色剤を含有することで塗りムラを防ぎ塗りやすくする独自の技術で存在感を高める。


同社は2005年に遮熱塗料専門メーカーとして設立。一般住宅屋根や工場屋根をはじめ、道路用や屋外外装パネルなどの工業用製品にも遮熱塗料を展開する。国内だけでなく海外での実績もある遮熱塗料の専門メーカーだ。大学や研究機関などと遮熱塗料の性能評価や実験を行うなど科学的なデータも蓄積し製品の開発に生かしている。

そんな同社は昨年、水性遮熱塗料「ミラクールAQ1000」を発売。同品は溶剤形シリコン樹脂塗料以上の耐久性を発揮する。ポリカーボネートを組み込むことで強靭な塗膜を形成するのが一番の特長。ポリカーボネートの耐衝撃性はガラスの200倍とも言われており、軍用機の窓や機動隊の盾などの防弾材にも使用されている。また紫外線にも強く、屋外で長期間優れた強度を発揮する。速乾性も向上させており、山間部など結露が発生しがちな現場にも対応が可能となった。「VOCの抑制や臭気を低減できる製品として、上市以来環境意識が高い企業や臭気を嫌う食品工場などで引き合いが多く出ている」と市場評価も高まっている。

クリア塗料で遮熱性能を維持

更に、同社では水性遮熱塗料と併せてトップコートクリアとして「ミラクールAQクリア」を新たにスペックインした。汚れが付着すると性能が損なわれてしまうという遮熱塗料の課題を解決するクリアの親水化材で、美観と遮熱機能を長期間維持する。

「水性エマルジョンの弱点は初期の撥水性。雨が降っても汚れの上を水滴が転がっていってしまうので、汚れが落ちにくく雨だれの跡が付き、遮熱機能を阻害してしまう。これは各塗料メーカーが苦労されているところだと思う。同品はそれを防ぐために開発されたもの。同品の親水性の塗膜が遮熱性能を落とす原因となる汚れを浮き上がらせ、雨水などで洗い流すことで長期にわたり遮熱機能を維持できる」(担当者)と同品のメリットを訴求する。現在、水性、溶剤に限らず、すべての上塗りに対応している。

特長的なのは、着色剤が含有されている点。施工時の塗り残しを防ぐためのもので、塗装直後は着色された塗膜になるが、1週間ほどで着色剤が落ち、透明な塗膜となる。

着色剤を含有していなかった開発当初、工場での試験施工時に折半屋根に塗ってみたところ、塗りムラが出てしまったという。というのもクリア塗料は透明のため均一に塗装することが難しい。更に屋根などを塗装する場合、照り返しが強くサングラスをかけて作業することも多い。サングラスのカラーレンズ越しで透明な塗膜を視認し正確に塗るのは至難の業だ。「現場レベルで使いやすい製品にするにはどうすればいいか試行錯誤していた」と当時を振り返る。

そこで出てきたのが、視認性を向上させるために着色剤を使用するというアイデア。「塗膜への影響もなく塗りムラも防止できる」として本格的な採用に至った。同品に含有されている着色剤は食材用のものを使用しているが、「色水が流れていると工場関係者や周辺に住む人も不安になる恐れがある」として外部機関で水質の試験も実施。雨などで外に流れても人体などに影響はないことが証明されている。

その証明が奏功しアフリカの難民キャンプでも採用される運びとなった。「雨水は飲み水にも使用されている実態がある。同品の着色材が流れても人体に影響がないことも採用の後押しとなった」(担当者)と説明する。その他にも途上国の住環境を向上させる目的で国内だけでなく海外での展開も行っていく。

現在同社では着色剤を含有したことで塗りムラがなく施工でき、塗装後も遮熱性能を維持できる製品として複数の特許の申請も行っている状況。「遮熱塗料は省エネ効果がある塗料として、昨今課題となっている工場などの職場環境の改善やSDGsにも対応できる機能を持っており、社会の機運も追い風となっている。しっかり遮熱機能を維持できる製品で、お客様の困りごとを解決していくことは、遮熱塗料の社会的な地位の向上にも役立つ」(担当者)と、同品を起爆剤に積極展開していく姿勢を示す。



セルフクリーニング効果を発揮
セルフクリーニング効果を発揮
着色剤の消失過程
着色剤の消失過程

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