大同塗料は、NEXCO中日本と共同で鉄筋腐食抑制効果を付与したジェル状シラン・シロキサン系表面含浸材を開発した。7月から「アクアシール1400AR」として販売を開始する。

シラン系表面含浸材は、コンクリート表層に吸水防止層を形成し、塩害、凍害、アルカリ骨材反応などの劣化要因を抑止するコンクリート保護材。施工性の高さや目視検査を可能にする透明性を保持する点などが評価され、トンネルや橋脚への採用が拡大。同社にとっても塗料事業に加わる新規事業として実績を増やし続けている。

その一方で、新たな技術ニーズとして顕在化したのが、鉄筋腐食の抑制機能。「既設構造物の維持保全の重要性が高まる中、鉄筋腐食抑制に対する技術的根拠を求めるニーズが強まっていた」(同社)と開発の経緯を説明。技術実証を得るため7年の歳月をかけ製品化を実現した。

新製品となる「アクアシール1400AR」の最大の特長は、防錆効果が高く浸透性に優れた防錆剤を混合することで鉄筋周辺を非腐食環境に改善し、鉄筋腐食抑止効果を付与した点。

一般的なシラン系表面含浸材が2~3mmの吸水防止層を形成するのに対し、同品は4~6mmの層を形成。これにより外部からの水や塩化物イオンの侵入を阻止する他、浸透性防錆剤が鉄筋表面に吸着し、防錆被膜を形成することで鉄筋の腐食抑制を実現した。

性能は土木学会表面保護工法設計施工指針(案)に基づく性能(品質)評価においてオールグレードAを確保。この他、塩害や凍害、アルカリ骨材反応抑制効果も確保した。耐久性は従来品同様15年以上を訴求する。

施工仕様は、素地調整後、同品の1回塗り(ハケ、ローラー、吹付)。塗布量0.23kg/㎡、養生時間24時間以上。

今後の展開としては、塩化物イオンが浸透した既存構造物への適用も可能にしたことから新築、メンテナンス問わず、幅広く訴求していく方針。営業展開においても同社とNEXCO中日本との協業を強めていく。