創業110年を超える老舗塗料店が時代を生き抜く活路に見据えるのは、塗料・塗装を必要とする多様な需要家との関係構築。茨城県水戸市に拠点を構える辻武塗料(社長・菊池秀機氏)は、情報発信やサービス提供にこれからの販売店の在り方を見出している。

陣頭で指揮を取るのは、2020年に社長に就任した菊池氏。菊池氏は、工業塗料ディーラー・ツジタケの社長も務めるが、元々昭和63年に同社から分離独立した同系会社。4年前、菊池氏に事業継承を託す形となり、32年ぶりに資本を共にする同系会社としての歩みを始めている。 

汎用塗料の経験は乏しいとはいえ、着任した菊池氏が認識を深めたのは「このまま既存の顧客を基盤に堅実経営を続けていくだけでは成長が得られない」との危機感。「社員のスキルは高く、カラープランニングと合わせて内装塗料を新規事業に据える取り組みも進められていた」こともあり、営業をバックアップする内勤社員の増強に重点を置く。自社のサービス機能を地域に広く伝える情報発信や提案活動が必要と考えたためだ。

そこで人員採用をきっかけに今年、営業をサポートするアシスト事業部を設立。Instagramを活用した情報発信に注力する中、「不動産会社やリフォーム会社など、塗装を必要としながら塗装会社を知らない会社が多くあることを知った」と顧客の紹介や施工を請け負うなど早くも成果をもたらしている。

9月14日には、本社敷地で2年ぶりとなる展示会「TSUJITAKE 全力夏祭り」を開催。塗料メーカー、副資材メーカー、機械工具メーカーなど24社が出展。予想を上回る62社・120名の顧客が来場し、交流を深めた。

展示会向けに作成した垂れ幕には「人を元気に 街を元気に 辻武塗料はあなたの元気をアシストします」の文字。"元気"を届ける役割にこれからの成長像を描いている。