スレート屋根塗装のトラブル回避へ
公式アプリをリリース

リフォームを巡る消費者保護の観点で、メーカーの公式アプリが配信される。スレート屋根塗装時の縁切り部材「タスペーサー」の開発・製造・販売元のセイム(茨城県守谷市、社長・倉持忠行氏)は、屋根塗装のトラブルを未然に防ぐためのアプリケーション「タスアプリ」を11月中にもリリースする。「施工者側と施主様側の双方で正しい知識と情報を共有すること」でトラブルを防ぐのが目的。


戸建てなど低層住宅の多くで使われている平板スレート屋根、いわゆる新生屋根材の塗装工事はトラブル(不具合)が多発する危険エリアでもある。

屋根はもともと紫外線や風雨に対して過酷な環境にある上、特にアスベスト使用禁止以降の同屋根材は割れやすいなどの弱さが指摘されている。中には新設時から10年を待たずに屋根材自体で層間剥離を起こす粗悪品もあり、「下手に手を出すと大きなクレームになりかねない」(塗装業者)と神経を使うデンジャラスゾーンだ。

こうした基材の品質劣化に加え、屋根は施主の目の届きにくい場所であることもトラブルの要因。屋根材の重なりに通気層を確保するための縁切りや、屋根材の割れの適切な処理を怠るなど雨水の浸入によって野地板や構造材が腐るなどのケース。施主の目が届きにくいことで杜撰な工事につながっている実態もあり、解決すべき問題は多い。

特にハウスメーカーやリフォーム会社などが元請けに入った場合、塗装に対する担当者の知識不足から不適切な指示をされることもあり、下請けや職人にクレームのしわ寄せがいく場合も少なくない。

屋根塗装リフォームの必須部材メーカーとしてこうした実態を間近で見ていた同社。「結局一番損害を被るのはその家のお客様。工事を提供する側、そしてお客様側にも正しい知識と正しい情報を分かりやすく伝えることで少しでもトラブルを減らしたい」(倉持社長)と、スマホなどで手軽に閲覧しやすい情報提供アプリの開発に乗り出した。

正しい知識と情報共有で健全化

来月リリース予定の「タスアプリ」は同社の主力製品「タスペーサー」と、スレート屋根材の強力補修剤「タスマジック」に関わる部分から屋根塗装リフォームの詳らかな知識と情報を伝える。

内容は、野地板の上に防水シートを敷き、その上に屋根材を釘で固定するスレート屋根の構造に始まり、塗装時に屋根材の重なりが塗膜で覆われると裏に滞留した雨水の浸入で野地板が侵されること、そのため屋根材の重なりに通気層を確保する縁切りが必要なことを伝え、その有効なツールとしてのタスペーサーを説明。施主が目視で縁切りを確認できる有効性も伝えている。

また補修剤のタスマジックでは、スレート屋根材が風雨や紫外線でもろくなりひび割れや欠けが発生しやすいこと、一般的な補修工法のコーキングでは耐久性が乏しいことを伝え、割れた屋根材を元の強度の2倍に再生強化するタスマジックの商品説明と割れ対策としての有効性へとつなげている。

いずれも屋根の置かれている状況やその構造と性質、縁切り不足や屋根材の割れへの軽微な対応がトラブルにつながりやすいことなどを解説。それらへの対処法として現存する工法の中で最も有効な手段としての「タスペーサー」や「タスマジック」の情報提供を行っている。

アプリ内では項目ごとにイラストとシンプルな説明文を付したスライドを用意、それらをスワイプして一連の流れを確認していく構成。利用方法としては「(リフォーム会社などの)営業さんがスマホやタブレットの画面を見せながらお客様に説明するイメージ」のため、素人の施主にも分かりやすいイラストになるよう、「あえて建築の知識のないイラストレーターに発注、素人が見て分かりやすいイラストになるようにしました」と工夫を凝らした。

分かりやすさに力点を置いたのは、工事をする側の営業マンにも理解を深めてほしい思いがあるためで、「このアプリを見ればスレート屋根の塗装リフォームに関して正しい知識と情報が得られ、トラブル低減に貢献できる」と自信を示す。近年、ネットやSNSで情報が入手しやすくなった反面、フェイクや根拠があいまいな情報も氾濫、真の情報の希少性が高まっている。それだけに、「正しい知識と情報を伝えるメーカーの公式アプリ」としての存在にポイントがあると言う。

また、各種メーカーのサイトなどで一般的に見られるカタログや製品説明書を転載しただけのような内容ではなく、「理解していただくこと」を大前提にしているため、「分かりやすさ」に腐心しているのが他との大きな違い。

「口幅ったいようですが、工事業者側の恣意的な行いは論外として、業者様側、そしてお客様側の知識や情報が不足しているという点もリフォームでトラブルが多発している大きな要因になっていると思います。そういった意味では状況を把握するための調査診断も非常に重要で、今後はその分野にも枠を広げアプリのコンテンツを充実させていきたい。元請会社、施工に当たる業者さん、そしてお客様のそれぞれが正しい知識と情報を共有することが市場の健全化には欠かせません」とし、「真の情報提供」に努める。

なお、「タスアプリ」は11月中にリリース予定で、iOS版とAndroid版を用意、各ストアから無料で入手できる。



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