昨年末、企業の技術部門のノーベル賞とも称される「岩谷直治記念賞」に輝いた。制度開始以来、大企業や公立研究所の受賞が居並ぶ中で、中小企業で初の受賞となる快挙となった。

同賞は岩谷産業の創業者・岩谷直治氏の私財を基金に設立された岩谷直治記念財団が、エネルギー及び環境に関する技術開発で顕著な産業上の貢献が認められる業績に贈られる表彰制度。同社の断熱塗料「ガイナ」が建物をはじめタンク、車両、船舶など幅広い産業上の貢献と国民生活の向上に寄与するとして受賞した。「日本の技術部門の最高の表彰制度に認められたことは、ガイナの機能・性能の最も大きな裏づけになる」(担当者)とし、営業展開に更なる弾みをつける。

同社の断熱塗料「ガイナ」は、断熱材など伝導熱への対処による従来の断熱技術と異なり、遠赤外線放射の調整により熱流を減少させる新しい断熱技術。塗装による薄膜の断熱処理を可能とし、スペース・形状による制限を受けないため従来の断熱材では対処が難しかった炉体、タンク、車両、船舶など建築以外のさまざまな分野にも広がりを見せている。

例えば保冷車のドアの開閉に伴う結露の発生を防ぐため保冷トラックの荷台(内装)に大量採用されているケース、高速道路の防霧ネットへのコーティング、変わったところでは靴の中敷への練りこみでも採用。断熱、消臭、結露対策、遠赤外線効果などガイナの特殊機能がさまざまな場面で活躍している。