BSサミット事業協同組合は7月10~11日の2日間、20周年記念の全国大会をANAインターコンチネンタルホテル東京で開催した。会場は祝賀ムードとは異なる緊迫したムードが支配的で、ある組合員は「車体整備の内容が抜本的に変わる時代に入った」と語っていた。

冒頭あいさつした磯部君男理事長は次世代自動車をめぐる世界動向の解説に大半の時間をあてた。特に2020年にはグリーン・ディーゼル車、ハイブリッド車から電気自動車が世界の主流になるとの見方を示し、インターネットを介した"コネクテッド(つながる)"技術が広がると強調。例えとして「フォルクスワーゲンは5年以内にすべての車を電気自動車にシフト、トヨタ自動車においてもシフトが鮮明になる」と述べた。

また、急速なカーシェアリングの発展に関し、ある調査会社の予測を引き、2015年のマーケット規模1兆7,000億円が2025年には38兆1,900億円に拡大、米国並びに中国での伸長が著しくなるとした。

磯部理事長はコネクテッドカーが自動車社会に与える影響について①自動運転②安全性向上(ITS、通信衛星の利用)③エンターテインメント(スマートフォンとのインターフェイス、Wi-Fi、LANスポット、SNSへのアクセス)④ウェルビーイング(快適な運転環境)の4項目を挙げ、テレマティクス化による走行管理の一元化やホームインテグレーション(自宅・事務所との接続)が進む社会になると強調した。

そしてコネクテッド技術がアフターマーケットに与える影響に関しては「故障箇所の未然探知や消耗部品の交換時期について、自動車メーカー・ディーラーが伝達し顧客が囲い込まれる」と懸念を示す。事故修理車は2016年の771万台から2020年には628万台に減少、年ベースで30~40万台が減るペースと予測。

こうした状況を受け、2017年のBSサミット事業戦略として3本の柱を立てる。コネクテッドカー時代への対応を図る他、世界基準の車体整備業へのステップアップとして223工場エクセレント工場をゴールドランク工場へ引き上げ、更に新たなビジネスプランの策定を行うとしている。「従来の固定概念にとらわれていると時代の変化を見誤る」(磯部理事長)と結んだ。

続いて、技術教育委員会、フロント教育委員会、ロードサービス委員会が報告を行った。技術教育委員会の駒場豊委員長は「カーメーカーにとってホイールの角度は正常だというのが当たり前になっている」とし、ポイントとしてターゲットに向けたカメラのエーミングをとるときに、アライメント調整した上で車体中心線を基準にカメラの基準をとることの必要性を訴えた。

ロードサービス委員会の森松和博委員長はロードサービス出動実績を発表。昨年度の実績は38万546件(6.4%増)、60億1,750万円(14.3%増)となった。