CFTランズバーグ、粉体塗装ビジネス再始動
MS粉体事業を開始、工業塗装で提案力増す

塗装機メーカーのCFTランズバーグ(本社・神奈川県横浜市、代表取締役社長・平瀬真吾氏)は粉体塗装機を展開するMS事業を本格的にスタートさせた。スイス発のMSブランドは軽量ハンドガンや塗装システム、レシプロケーター、MDF粉体など豊富なラインアップを有する。静電塗装(溶剤系や水性系)のランズバーグ事業部と連携することで液状と粉体の"両翼"で工業塗装分野における事業拡大を図る。


同社は6月26日に本社内のラボ施設で販売店向けにキックオフ会と称し説明会を開催、その場で実演を交えてMS粉体塗装機の詳細が初披露された。

スイス発祥のMS社は1991年にM+S社として創立しヨーロッパを中心に事業展開している。ハンドガンユニットや自動ガン、塗装ブース、塗料供給装置、制御システムなど粉体塗装の自動化や最適化を図る製品及びシステムをラインアップする。

超軽量388gハンドガン

ハンドガンユニットは「トップコート M4 粉体ハンドガン」と粉体塗料の箱をそのまま置ける「トップコータースピーディー」(写真)及びボックス式の「トップコーターフルイド」の2タイプの塗料タンクとなる。

M4ハンドガンは本体重量が388gの超軽量が大きな特徴で、人間工学に基づいた設計による扱いやすさ、ユーザーの負担軽減に大きく寄与する。最新のデジタル高電圧技術により正確なパラメーター制御が可能。標準モードやメタリックモード、リコート、複雑形状被塗物など作業に合わせたプログラムや吐出量は直接ガンに設定することができる。ガン自体は清掃しやすいシンプルなデザイン設計。

一方、塗料タンクのトップコータースピーディーは粉体塗料を直接吸引するため短時間で素早い色替えが可能。自動クリーニングシステムにより1分以内の色替えができる。流動タイプではないため粉が舞い上がるなどの汚れが防げる。

自動計量による塗料供給を行っており、粉体塗料を吸引するエアーと粉体塗料をガンに搬送するエアーを調整することで吐出量に合わせて安定性を維持する。

合わせて最新のデジタル高電圧技術を駆使(最大100kV)。塗装中にガン先から被塗物に流れる電流値を制御することで優れた塗装肌を得られる。

また、ハンドガンユニットはトリボ帯電式の「MS トリボパウダーパック」もラインアップしている。

自動システム、多彩な製品群

ライン用のシステムはMS粉体ブースシステムとして提案する。色数や製品の多様性に加えて、少量生産にも対応できる最適な粉体塗装システムを展開していく。

システム構成は、自動ガン「MS トップコート A4」(コロナ帯電式)及び「MS トリボ粉体システム」、塗料供給装置「MS パウダーキッチンPKV24」、制御装置「MS プロセス制御システム」、「MS サイクロン粉体回収ユニット」、「MS レシプロケータ」などとなっている。

その他にも品質と効率化に寄与する「MS 超音波ふるいシステム60US」、400~1,000kgの大容量の粉体塗料を手軽に扱える「MS ビッグバッグ粉体供給システム」など多様な製品システムを有する。新需要向けとしては「MS MDF(圧縮木材)粉体塗装システム」や6軸ロボットの「MS 自動粉体塗装ロボット」の提案も進めていく。

トータル提案力増強
溶剤と粉体を完備する効果

今回のMS事業開始によって、同社はGEMA事業のグラコ社移管で扱いがなくなっていた粉体塗装ビジネスを改めて展開することになった。溶剤・水性静電塗装を展開するランズバーグ事業部との連携により工業用ユーザーへの提案力は大幅に強まった。

工業塗装分野では環境配慮や効率化から粉体塗装需要の拡大傾向は続いている。既存の溶剤塗装から切り替えるケースや、「新たな生産ラインを作るなら塗装は粉体」と考えるアッセンブルメーカーは少なくない。

そうした中、溶剤系(もしくは水性)のみの扱いでは不十分と言える。例えば溶剤塗装を行っている既存ユーザーが粉体塗装に切り替える場合には自然と他社に流れてしまうからだ。

MSブランドはハンドガンユニット及び自動ガンでコロナ帯電式とトリボ帯電式を有し、高速色替えシステムの他、MDF対応やロボットなど特徴的なシステムも揃っている。横浜市の本社敷地内のラボ施設には粉体塗装システムを完備しており、ユーザーを招いて実際に塗装し評価することが可能。専任に技術者を複数名置き、営業体制としてはランズバーグ事業部との連携を図って事業拡大を目指す。



ハンドガンユニット「トップコータースピーディー」
ハンドガンユニット「トップコータースピーディー」
 ハンドガンは超軽量388g
ハンドガンは超軽量388g
ラボ施設には粉体塗装システムを完備
ラボ施設には粉体塗装システムを完備

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