日本ペイントホールディングスのグループ会社で自動車用塗料を手掛ける日本ペイント・オートモーティブコーティングス(NPAC)は、フィルムビジネスに本格参入する。

NPACは2015 年より次世代自動車産業向けに、新規領域としてフィルム向けのコーティング(加飾フィルム)技術開発に取り組んできた。

次世代自動車へのシフトが進む中、運転席のデジタルコックピット化や快適な移動空間がより求められるなど、自動車自体の役割が変化している。

また、自動車部品でも電動化や高度安全技術の導入により、一部の車両でフロントグリルがなくなったり、センサーやカメラを内蔵したパネルに置き換わったりするなど変化している。

NPACが今回事業化した自動車内装用の加飾フィルムは電子デバイスやディスプレイの保護、映り込み防止機能の他、コロナ禍において需要が高まっている抗ウイルスなどの機能を付与することができる。また、塗料では実現できなかった自由なデザインを施すことも可能。

更に塗装工程で排出されるCO2量の低減も期待されることから、同社では脱炭素社会の実現に向けて加飾フィルムへのニーズはますます高まるとの見方を示す。

NPACではトヨタと共同開発している太陽電池向けの加飾フィルムをはじめとし、自動車内装部品だけでなく多機能化する外装用の加飾フィルムの開発や、自動車以外への応用についても検討を進めている。

また、これまで提供していたフィルム用のコーティング剤に加え、2022 年からはコーティングされたフィルム自体の販売も計画している。

同社は「今回のフィルムビジネスへの本格参入により加飾フィルムの開発を加速するとともに、自動車用以外の領域への展開やグローバルでのフィルムビジネスの拡大も視野に入れています」との方針を示す。