青年部が次世代を牽引、情報共有に注力

「他業界に侵食されることなく自主自立した業界に近づくために、それぞれが強い当事者意識を持って、自らが目指していくべき"未来"を自らの手で主体的に創っていく」と語るのは5月の総会で日車協青年部新会長に就任した伊倉大介氏(東京・伊倉鈑金塗装工業社長)。今年度から経営プロジェクトと組織プロジェクトの2つのプロジェクトを始動。自動車産業が大きく変化する中、会員個社の経営力の増強と確実な情報共有で板金塗装業界の未来づくりを志向する。


日本自動車車体整備協同組合連合会青年部会は現在、537名が所属する全国組織。5月22日に行われた第20回通常総会で役員改選が行われ新部会長には伊倉大介氏が就任し、会員個社の経営力の底上げと情報共有を最重要課題に挙げた。「板金塗装業界に限ったことではないが、5年後、10年後だと思っていた変化が目前に迫っている。その時、どうやったら生き残れるか。ライバルに勝てる経営力をつけ、知識ある豊かな会社経営でライバルに立ち向かう。これを迅速に行わなければ変化のスピードが速い現在では取り残されかねない」と危機感を露わにする。

2つのプロジェクトを始動

今期、重要施策に据えるのは経営プロジェクトと組織プロジェクトの2事業。経営プロジェクトは「未来を見据えた個社の発展」を目的に、会員個社の経営に必要な知識を全国の会員へ提供するため、ウェブ上で一元的に情報を共有できる「オンラインアカデミー」を開設。経営や人材確保・育成、技術など多様なコンテンツを盛り込んでいく計画で、動画を活用した動画配信も積極化していく。経営者の知識習得や経営力底上げを目指す。

セミナーの動画はオンライン上にアーカイブとして保存されるため、ユーザーはいつでも視聴が可能。「講師が全国を周るのでは情報の伝わるスピードが遅い。オンラインで受講できることで一斉に情報を伝えることができる。また、会員個社の経営力を高めることができれば、未来への変化に備えることができる」と話す。

更に、会員個社に対する「2030年ビジョン」の構築をサポート。自社の未来を明確に描き、計画、行動に落とし込むことで、企業として着実に未来へ歩んでいく仕組みをつくる。

一方、もう1つのメイン事業である組織プロジェクトでは、同部会自体の「2030年ビジョン」の構築を目指す。「青年部会全体としても、まずは目指すべき姿であるビジョンを明確にする必要がある。ビジョンが決まれば、具体的な行動に落とし込むことができる。特に長いスパンで取り組みを実行していくためには、青年部会全体の中長期ビジョンは不可欠だと考えている」と意義を説明する。

併せて、組織プロジェクトでは、組合や青年部会の歴史の共有にも注力していく方針。組合活動への理解を高め、青年部会の活動を広く訴求していく考えだ。

スピード感ある情報共有を意識

今回青年部会が重視するのが情報伝達のスピード化。これまでは協同組合という組織上、ブロック理事→各単組→各部会員へと情報を伝えるかたちが一般的だったが、全部会員に伝わるまでに時間がかかる。また、正確に情報が伝達しきれない課題があった。そこでFacebookなどのSNS、メールやブログなどの複数メディアを活用し、情報を発信していく。全組合員に時間差なくスピーディーに情報を届けたいとの狙いがある。

情報共有の狙いはそれだけではない。

情報伝達の正確性を高めることで、これまで組合活動に積極的に参加していなかった部会員に対し参加を促したいとの狙いがある。「業界の存続に関わる変化に対し、我々同業者が結束して変化を乗り越える必要があるが、現状では数が足りない。組合活動に参加していただける会員を増やすことで、その波及効果を期待したい」と部会員全体の情報共有を青年部会活性化の原動力に据えている。

業界の垣根を越えたコラボも

また青年部では幅広い視野で業界の垣根を超えた企業経営力を育むため、外部サポーター制度を導入。業界内外問わず経営的に刺激となる人物や、経営に必要な知識を持っている人物を講師に迎え入れることで幅広い知識の習得を目指す。「自社にとって何が足りないのかを把握し、それを補うための制度。例えば、財務面の知識を付けたいということであれば、会員の人脈をたどり講師をお願いすることも可能。自社の経営力向上のため、積極的に活用していただきたい」と外部サポーターの意義を説明する。

伊倉氏は「自らの手で、未来への希望が持てる個社・組合・業界にしていくことが使命。まずは2030年までの道筋をつくっていく。自分の後に続く部会長にもビジョンや考え方を伝え、中長期的に未来が描けるようにしていきたい」と展望を語る。



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