非自動車産業へ、高塗着塗装機を推進

ロボットメーカーのABB(本社・東京都、代表取締役社長・中島秀一郎氏)は得意とする自動車産業だけでなく、一般産業における塗装の自動化推進に注力する。「従来のベル型塗装機を進化させ、塗装効率85~95%を実現する塗装機の開発に取り組んでいる」(中島社長)として塗装自動化の技術革新を図っている。


ABBは塗装機及び塗装ロボットメーカーとして、これまで自動車産業をメインに事業を展開してきたが、最近は「一般産業と呼ばれるさまざまな分野からお困り事の相談が増えてきた」(中島社長)と市場の変化を捉える。

ただ産業規模の大きな自動車分野と異なり、「自動化設備の導入に至るまでのハードルはまだまだ高い」との見方を示し、「そのハードルをいかに下げ、自動化のメリットをご享受いただくか。それが我々の大きなチャレンジの1つ」としてロボットによる塗装自動化の拡大を目指す。

同社への案件として、塗装品は大きなサイズや重厚品、長大かつ複雑、形状が複雑な品物が多いという。産業分野としては、電気電子部品、飛行機・電車、建機、建材といったニーズが多くなっており、中には風力発電のブレードといったような新たな塗装品も出てきているという。

同社の強みは、塗装機とロボットの両方を製造する総合エンジニアリング力だ。塗装機器、塗装ロボット、ブース&ラインエンジニアリングを手掛けており、すべてを一括して受けて提供することもできる。塗装機やロボットの単体でも対応できるが、包括的なライン構築の経験を強みとする。

中島社長は「塗装においてどのような自動化ができるのか。一般産業ではまだまだ認知されていない部分が大きいように思う。お客様の自動化の在り方について、一緒に頭をひねっていかないといけないと考えている」との考えを示し、顧客との協働志向を掲げる。

その際に重要視するのが、いかに歩留まりを減らし直行率を最大化できるかという基軸だ。塗装機による材料削減、ロボット化で補正作業ゼロ化、最適なフロアコンベアの採用を行うことで、塗装における生産コストの削減効果に寄与する。

「工程内検査、出荷前検査、すべての検査に1回で合格する比率を増やすことが、材料費、労務費の両方にクリティカルに効く。同時に環境への負荷を減らす、作業者の負荷を減らしより良い職場環境を提供するという今日的な課題にも貢献する」(中島社長)。

製品技術としては、最新技術の領域と位置付けるインクジェット塗装機 「PixelPaint」を開発。塗着効率はほぼ100%であり、社会的にカーボンニュートラルの流れが加速するにつれて需要の高まりを見せている。

一方で、「PixelPaint」は「万能ではなく技術として成熟するのに時間がかかる」(中島社長)ため、従来のベル型塗装機の進化を図っており、従来技術の延長線上で塗装効率85~95%を実現する塗装機の開発に取り組んでいる。

インクジェット塗装機と新たな高塗着塗装機を確立させ、自動車産業の最新技術の追求とともに非自動車産業の課題に対応した展開を目指す。

昨年、ABBロボティクスジャパンとして一丸となってサービスレベルを向上するためにCREDO(信条)を設定。製品力、提案力、サポート力を生かして、ロボット自動化のプロ集団として顧客に提供価値の最大化を図る。



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