大手塗料商社のオーウエルはサスティナブルサプライチェーンの実現に向けて、「廃粉体塗料リサイクル事業」を今年度末から段階的にスタートさせる計画だ。

塗装工程で出る廃粉体塗料は産業廃棄物として焼却処理されるのが一般的。塗装工場を有する企業としては産廃処理費用が発生しているだけでなく、焼却時に多くのCO2を排出している。

同社では国内の廃棄される粉体塗料を約9,000トンと試算しており、「サプライチェーンにおいてCO2を減らす取り組みを通じ、お客様の環境負荷低減活動に貢献していきたい」(執行役員・事業企画部・営業推進部担当 大森一樹氏)として事業化を進めている。

「廃粉体塗料リサイクル事業」は、粉体塗料を使用する顧客からオーウエルが廃粉体塗料を購入し、協力会社でペレット加工した後に、その「廃粉Reペレット」をその顧客に樹脂成型の原材料として販売する。つまり、同社が廃粉体塗料を回収・運搬し、用途開発及び販売を行うことで循環させる仕組み(サーキュラーエコノミー)。

同社では「本事業は、塗装工場の環境負荷低減を実現させることに共感していただけるお客様と一緒に取り組ませていただきたい事業」ということを強調する。オーウエルが廃棄される粉体塗料を購入するというのはあくまでもプロセスの1つであり、「廃粉Reペレット」を使って製品化するのは顧客自身が行うことを想定しているため、まずは樹脂加工ができる粉体塗料ユーザーと一緒にこの事業に取り組んでいく。

「廃粉体塗料リサイクル事業」について、同社の考え方などを複数の顧客に提案したところ「反応は非常に良い」という。塗装工場から出る廃材のリサイクルを通じ、CO2排出量も削減できることが企業の関心を集めている。

現在は、廃棄される粉体塗料を樹脂(PPなど)と混錬して再生原料に加工する技術確立を進めている。来年3月までにサンプルレベルでの事業をスタートさせる。

同社は「廃粉体塗料リサイクル事業のベースにあるのは、廃粉体塗料などによる地球環境への負荷を少しでも低減したいという気持ちであり、ビジネス性よりもサスティナブルの考えで取り組んでいる。同じ志を持つお客様と一緒に塗装工場の環境負荷低減を実現させたい」(大森一樹氏)として、事業化に向けた歩みを速める。