「需要の減少よりも工場の減少が早く進むのではないか」と語るのはボディショップ和取締役の松本悟氏。岐阜県羽鳥郡岐南町で輸入車補修を主力に事業基盤の強化に努めている。

創業は昭和48年、法人設立は平成7年。現社長の松本和彦氏が18歳で独立し、現在社員数は12名。月の入庫台数は50~60台。入庫のほとんどを輸入車が占め、6割がディーラーやモータース、残り4割はカーオーナーによる直需の構成。近年はフル操業の状態が続いているという。

輸入車に特化した事業戦略を明確に打ち出し、板金塗装の他、テスラ専用カスタマイズ、スプレーペイントプロテクションフィルム、車検・整備、カーコーティング、窓ガラスフィルムと多彩なサービスに、BMW、Mini、Audi、VW、ポルシェの認定修理工場として入庫の安定確保につなげている。加えて先述の同業者の減少が需要拡大に拍車をかける。「残るBPは、規模の拡大を迫られるだろう」というのが将来に対する松本氏の見方だ。

そのために注力するのが、担い手の確保と安定雇用。採用においては「一昨年前から経験者の採用から未経験者にシフトした」と大胆な施策に打って出る。

理由は、輸入車ゆえに高い品質基準を設定している点。「経験者だからこそ、当社の品質基準に対応する難しさがある」と一時期、入社しては辞める状況が続いたという。そこから未経験者の採用に一本化する。育成に時間はかかるが、長期雇用に寄与すると考えたためだ。塗料メーカーやカーメーカーのトレーニングメニューもモチベーションアップの一環としてスタッフの志気向上に寄与しているという。

働き方改革にも着手し、隔週土曜日を休業にした他、ゴールデンウィーク、夏季、年末・年始の大型連休は1週間程度の連続休暇を設けた。

今後、BPの減少とディーラーの集約化を背景に更なる需要拡大が予想されるが、同社としては自社対応に限定せず、外注化を積極化する方針。「地域の同業者との協業を増やしていきたい」と同業との協業から整備インフラの保持を目指す考えだ。

また新事業として粉体塗装工場を設立。元々は自動車ホイール塗装の外注費削減が内製化のきっかけだが、部品塗装や什器塗装などの依頼が拡大。更に同社自らオリジナル家具の販売を開始するなど塗装を軸に事業の幅を広げている。