日本パウダーコーティング協同組合(理事長・渡邊忠彦氏)は9月13日、「北海道工場見学会&セミナー」を開催し、会員など約20名が参加した。

今回、工場見学に訪れたのは、中央ネームプレート製作所(本社・札幌市、社長・氏家界平氏)の石狩工場。看板や表示板、標識などのプレート加工を主力に金属加工から成形、塗装、印刷までの一貫体制を築いている。札幌市営地下鉄の車輌内に設置されている駅名表示板や狂犬病注射済プレートは同社が手がけた。

ネームプレート加工から始まった同社は現在、「自社で内製化する方が納期、コスト面で顧客に対してメリットが出せる」(氏家社長)と周辺の加工を取りこむため設備投資を積極化。穴NC、抜き、曲げ、溶接などの金属加工からエッチング、アルマイト処理、塗装、印刷など多種多様の加工技術を保持。レーザー溶接機、インクジェット印刷機など、道内でも導入事例の少ない機械を導入し、配電盤や情報機器などネームプレート以外へと営業品目を拡大している。氏家社長は「工場集積の少ない北海道だからできたこと」と話すが、素材から商品化までを担う一貫生産体制に全国からオーダーが寄せられている。

また設備投資を積極的に行う一方で、「外注すれば高くなる。設計図さえあればできる」と得意の加工技術を生かし、周辺設備や配管などの製作、取り付けをすべて自社で行う倹約家ぶり。塗装ライン、乾燥炉、塗装ブースもすべて社内で製作した。なお塗装については「多い時で週3、4日の稼働」と頻度は多くないものの、メラミンと粉体塗装を手吹きで行っている。

中でも参加者の関心を集めたのが、排水処理施設。すべての工場の排水を1カ所に集約し、濾過を数回重ね、基準値を下回ったpH数値で外部に排水する。フィルター技術以外はすべて同社オリジナルで、塗装廃水やボイラーの戻り水も一括で処理。空気の流れを考慮し、臭いのないクリーンな排水処理施設を実現させた。

その他、零下10℃近くにもなる冬場の工場内温度を22℃前後に保つために給気室を設置するなど、作業環境にも工夫を凝らしている。

その後のセミナーでは東京ガスケミカルの望月徳三氏が「VOCの発生を抑える環境対応型洗浄方法」としてドライアイスブラストを紹介。サンプルを用いた実演も行い、ドライアイスブラストの性能を確認した。