水谷ペイントは4月1日、内装用抗ウイルス・抗菌塗料として「ACコートW」(内装・天井用)、「ACコートF」(床用)の2製品を発売した。光触媒機能を持つ微粒子酸化チタンを無機バインダーで固めたミクロンサイズのクラスター型光触媒を独自開発し、機能性と安全性を両立した製品として市場展開に挑む構え。16日から3日間開催した「2022年3月度WEB新製品発表会」で披露し、販売店やユーザーに拡販の協力を求めた。

同社が開発した光触媒酸化チタン(製品名・ACパウダー)は、経済産業省のサポイン事業として金沢工業大学、大阪産業技術研修所の産官学協業で開発した技術。一般的な光触媒酸化チタンは、ナノサイズで人体に入った際に影響を及ぼす可能性があるとして、EUでは昨年から発がん警告ラベル表示を義務化するなど安全性が論議されている。

そうした中、同社は光触媒酸化チタンの強力なラジカル発生力を生かした上で、微粒子酸化チタンを無機バインダーで固めたクラスター型光触媒の開発に成功。粒子サイズをナノレベルからミクロンサイズにすることで、飛散を従来型光触媒と比べて3分の1(UV照射試験200時間)に低減できるという。

その次世代型光触媒を配合した塗料として投入するのが、内装・天井用の「ACコートW」と床用の「ACコートF」の2製品。抗ウイルス性、抗菌性はそれぞれ4時間で99%、98%の分解を確認。臭い分解除去試験も光触媒工業会基準0.16μmol/hを大きく上回る性能が得られた。夜間や日光が当たらない暗所に対しては、無機系の抗菌・抗ウイルス剤を配合し、性能を担保。その他、低臭・低VOC、防カビ・防藻、F☆☆☆☆、防火認定(Wのみ)を保持する。

色は、「同W」が標準色9色に調色対応あり(N70以上)、「同F」は標準色5色で調色対応なし。設計価格は「W」が3,100円/㎡/3回塗り(下塗り1回、上塗り2回)、「F」が3,200円/㎡/3回塗り(下塗り1回、上塗り2回)。

既にモニター施工として、病院、事務所、店舗などに採用され、「作業性、乾燥性、仕上がり感とも好評を得ている」(担当者)と説明。衛生ニーズの高まりを背景に需要開発に意欲を示した。