革靴用の靴クリームを製造・販売する谷口化学工業所(本社・東京都墨田区、代表取締役社長・谷口弘武氏)は、木材用DIY塗料「クロマニョンペイント」を発売した。靴クリームの着色技術を活用して作られた塗料で、ホームセンターなどを中心にDIY市場に浸透させていきたい考え。

谷口化学工業所はレザーケア用のクリームの製造・販売を行っている創業112年の老舗。「ライオン靴クリーム本舗」の名前で製品展開しており、日本最古の靴クリームのメーカーとして知られている。

そんな同社だが、革靴メーカーの減少など既存市場の変化を感じていたという。「歩きやすいスニーカーが消費者に浸透する一方で、革靴を好み、手入れをしながら履く方の減少を実感している。少子化で今後消費量が大きく増えない中、これまで培った技術を生かせる新たな市場を模索していた」と谷口弘武社長。今までクリームの撥水技術を生かしたウィンタースポーツウェアやジビエを使用したレザーブランドなどの展開を試みたが、需要量やコストなどの点から本格的な展開には至らなかった。

そこで着目したのがDIY用塗料。「もともとDIYが好きで自分でもやっていたが、初めて木部用の塗料を使った時にピンときた」(谷口社長)と趣味がヒントになった。そこから調査をはじめ、既存の製造設備や販路を活用できることなどから本格的な製品開発に入った。開発に際しDIYが好きな友人から関係のある建築関係者などにヒアリング。その中で「容量が多くて使いきれない」「準備や後片付けが大変」など現状のDIY塗料の課題を抽出。それを解決できるような製品を志向した。

こうして開発されたのが木材用DIY塗料「クロマニョンペイント」。「『誰でも』『手軽に』『心地よく』」をコンセプトに使いきれるサイズにこだわった。

ハンディステインと呼ばれる靴の手入れに使用される、先端にスポンジがついた容器を使用。刷毛やローラーなどは不要で、同品1本で塗装ができる。手が汚れる心配もない。「DIYで作ったペン立てや小物入れなどに着色するイメージ」(谷口社長)と主に小物の塗装を気軽にできるよう配慮した。カラーはホワイト、ブラックをはじめ茶系のシナモン、有彩色のブルーベリー、チェリーなど10種類を揃える。

布で塗るカフェワックスやニスタイプもラインアップしている。「塗料で使用される顔料ではなく、染料を使用し着色している。当社が培ってきた薬剤を染み込ませる技術を応用した製品。木目を生かし、温かみのある色合いを付与できる」(谷口社長)と既存技術で塗料化に至った。

現在、靴クリームの販売で取引していたホームセンターなどに提案し販売がスタート。今年2月にはインターナショナルギフトショーに出展するなど、認知向上と販路拡大に努めている。「DIYシーンで木材と一緒に購入されるような製品に育てていきたい。機会があれば、ホームセンターのイベントなどにも出展していく」(谷口社長)と拡販に注力していく。