塗料・塗材の意匠と機能が進化

日本経済新聞社主催の「街づくり・店づくり総合展」が、2月28日~3月3日に東京ビッグサイトで開催された。このうち、店舗総合見本市の「JAPAN SHOP」と、建築総合展の「建築・建材展」には塗料・塗装関連の企業も毎回出展。新製品や注力事業のPRに務めていた。


店舗空間を華麗に演出
エスケー化研

店舗総合見本市のJAPAN SHOPに毎回出展している塗料メーカー・エスケー化研は、店舗建築において空間を彩る高意匠性仕上塗材やシート建材を主体に出展。空間デザインのトレンドである、「モルタル・金属・木・石・左官」など、素材感を生かした内外装仕上材を紹介、空間演出力を訴えた。

中でも目を引いたのは、モルタル調仕上塗材の「FINE MORTAR(ファインモルタル)」だ。マットで無機質なモルタルの質感は、商空間をスタイリッシュに演出するとして人気のトレンドで、「ポイントは、モルタル調の高度な意匠を再現する施工体制を広範囲な地域で整えていることと価格対応力」とアピール。設計やデザイナーがスペックしやすく、かつ現場の手離れの良さを強みとし店舗設計の市場で存在感を高めている。同品は内外装用の特殊仕上塗材で、モルタル調、テラコッタ調など12色のバリエーションを揃える。

クライマテリアで圧倒
アイカ工業

JAPAN SHOPの常連、アイカ工業は、意匠性内外装仕上塗材「ジョリパット」の上位版に位置付ける「クライマテリアシリーズ」を前面に小間展開を行った。

「クライマテリア」は、「モルタルアート」「マニッシュアート」「シックアート」「メタリアート」「イタリアート」「ストーンアート」の6製品で構成された同社の高級意匠性塗材ブランド。中でも天然石を使用したダイナミックな素材感が持ち味の「ストーンアート」は、重厚でありながら繊細さも併せ持つ多彩なテクスチャーがセールスポイント。内外装問わず意のままに上質な空間を設える独特の意匠性は店舗設計で人気を呼んでいる。イギリスの先史時代の遺跡「ストーンヘンジ」を同品で再現するなど目を引く展示を行った。

塗料×塗装技術=∞
大成・オリジン

焼付塗装専業者の大成塗装電機製作所は、オリジン・ケミトロニクス事業部と共同出展した。

大成塗装電気製作所の「LIKE COAT」は、焼付塗装専業の町場の塗装工場が、"意匠"を切り口に新たな境地に挑戦している取り組み。木目、錆、エイジング、石、タイルなどの高度な意匠をさまざまな素材や形状の被塗物に表現、店舗の建材や什器などで採用が増えている。今回は、塗料メーカーのオリジン・ケミトロニクス事業部と共同出展し、「塗料×塗装技術=∞」のコンセプトでブース展開を行った。塗装技術と組み合わせることで特殊意匠を付与できるオリジンの塗料技術をビジュアルにアピール。来場者の関心を集めた。

"水で貼る"壁紙を開発
ナガイ

塗装仕上げ済みの壁紙「レミリア」がヒットしている建材商社のナガイは、新商品として開発中の「イージーウォールプロ」を参考出展した。同壁紙は、「水だけ」で強力に貼って剥がせるプロユーザー向けの壁紙。糊付きの壁紙なので、水を吹き付けるだけで容易に貼れるのが特長。重くてかさばる糊付け機を現場に運ぶ必要がなく、霧吹きやローラーと壁紙を貼る道具類だけで施工がこなせる。剥がす際も壁紙表面に水を吹き付けるだけで剥がせるので、張り替えが容易に行えるなど「壁紙施工の概念を変えるポテンシャルがある」(担当者)とし、アピールした。

インフラメンテも紹介
菊水化学工業

建築・建材展に出展した菊水化学工業。建築仕上材の領域では、打ち放しコンクリートの再生工法「キクスイSA工法」や、内外装仕上用シート装飾材「モダンアートストーン」など独自性の強い製品群を展示。このうち、「モダンアートストーン」は、磁器タイルの建物の改修において、石材調の豪華な外観へのグレードアップと、シートの鎧張り工法によるタイルの剥落防止を同時に実現するとして脚光を浴び、再び販売を伸ばしている。

また、仕上材とは別に、内圧充填接合補強の「IPH工法」や、アスベスト除去工法の「キクスイ塗膜除去システム」を出展。新たな事業領域として注力している社会インフラ維持保全分野の工法などを紹介した。

「ナノテクシリーズ」披露
水谷ペイント

水谷ペイントは、住宅塗り替え市場をターゲットに据えた新製品「ナノテクシリーズ」を前面に小間展開した。同シリーズは、施主と塗装店が分かりやすく、選びやすい製品体系で揃えた住宅塗り替え用塗料。20年相当、15年相当、10年相当の耐久年数別で外壁用、屋根用及び屋根用遮熱塗料を体系化。「施主様の要望に応じて塗装店様が提案しやすいよう製品体系を整えるとともに、当社独自のナノテクノロジーと市場要求の多いレオロジー技術、ラジカル制御技術を合体。広範囲な市場ニーズを捉えられる製品群」(担当者)としてアピール。「住宅塗り替え市場のスタンダードを狙う」としてPRに熱が入っていた。

建築分野に浸透する
「ローバル」

ローバルは、「塗る亜鉛が建築を変える」をコンセプトに出展。めっき、塗装に代わる第三の鉄部仕上げとして自然の風合いを生かした亜鉛コーティングを紹介した。鉄部をまもる防食性能に加えて、平面に立体感や奥行きを表現し、見る角度によって陰影が出せる"塗る亜鉛テクスチャー"をパネルや画像で展示。塗装方法による色や陰影、金属感のバリエーション、経年変化による味わいなどローバルならではの表現力をアピール、来場者の目を引いていた。



エスケー化研ブース
エスケー化研ブース
菊水化学工業ブース
菊水化学工業ブース

HOME建築物 / インフラ塗料・塗材の意匠と機能が進化

ページの先頭へもどる