素材技術が集結、業界を越える契機に
「関西高機能塗料展」を開催

リードエグジビションジャパンは、来月9日から11日までの3日間、インテックス大阪で「第1回関西高機能塗料展」を開催する。会期中は関西高機能素材WEEKとして金属、プラスチック、接着、セラミックス、フィルム関連の展示会を併催し、全展で計320社が出展。高機能塗料展の開催は初めて。開催実現に至った経緯とみどころについて関西高機能塗料展事務局長の土屋勝利氏(写真)に話を聞いた。


----いよいよ明日開幕を迎えます。改めて塗料展開催に至った経緯についてお聞かせください。

「いきなり高機能塗料展と聞かされて高機能とは何ぞやと思われた方も多いと思いますが、趣旨としましては、建築から自動車、エレクトロニクス分野に至る塗料及びコーティングのすべてを網羅した総合塗料展を目的に企画しました。これまで過去5年、各分野の素材技術を集めた同展を行ってきましたが、出展者及び来場者の双方から塗料やコーティング関連の出展を要望する声が年々高まっていたことも開催を後押ししました。素材技術が目まぐるしく進化する中にあって、付加価値を高める塗料・コーティングに対する関心が高まっているのは確かです」

----初開催だけに出展集めには苦労されたのでは。

「どの企業も初開催の展示会に出展する時は、慎重になるものです。ただ蓋をあければ、予想を超える出展協力が得られました。今回、出展案内を通じて多くの企業様と話をしましたが、総じて展示会への期待の高さを感じました。どのメーカーも新製品や技術を披露する場を求めていながら、なかなか適した場がないというのが現状です。もちろん、既存の販路を通じて伝えられるものもありますが、どの業界も現状にとどまっていてはシュリンクするとの危機感を強めています。むしろ、業界を越えたところに技術の応用を求めており、それが展示会に出展するモチベーションとなっています」

----具体的にはどのような成果が期待できますか。

「本展は、塗料展の他、高機能金属展、高機能セラミックス展、接着・接合EXPO、高機能プラスチック展、高機能フィルム展の計6つの展示会から成り、計320社が出展します。また来場者数は2万人を予想しています(昨年実績は1万2636人)。塗料展が新たに加わったことも増員に寄与しますが、最大の魅力はさまざまな業界の方々を一堂に呼び込める点にあります。つまり、塗料・コーティングに関心のある多種多様な業界の方々を呼び込めるのは、業種ごとにくくられた展示会ではできません。我々としては、出展企業様に対し費用対効果に寄与する成果を上げて頂くことを重視しており、全出展企業のブースには商談スペースを設けることをお願いしています。加えて、会期中はできるだけ技術責任者などトップの方に常駐して頂きたいと思っています。ビジネスマッチングの場として成功に導くには、責任ある方の常駐は欠かせません」

----今展のみどころについて教えてください。

「併催セミナーに業界が注目するプログラムを用意しました。今回高機能塗料展では、日本ペイントホールディングスの田堂哲志社長がグローバル展開について、関西ペイントの古川秀範常務が技術開発をテーマに開催記念講演を行います。また専門技術セミナーには、①生活環境改善に寄与する最新塗料の紹介(関西ペイント汎用塗料本部建築製品技術部・雑賀忠信氏)②トヨタにおける塗装技術への取組み(トヨタ自動車有機材料技術部・永井隆之氏)③デザインペイントが生み出す新ビジネスチャンス(フォーアーツデザイン代表取締役・ヨザン弥江子氏)の3セミナーをします」

「その他、各展からも最新の技術セミナーを予定していますが、その中で関心を集めているのが、セラミックス複合材(CMC)とAIと材料開発を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクスの講演です。CMCは、軽量化材料、構造体材料として注目されている超最先端材料で、ブレーキディスクとして製品化を実現したクアーズテックや航空機エンジンに用いたロールスロイスなど民間企業の立場から材料特性や開発動向について語って頂きます。また材料開発をビジネスにつなげるマテリアルズ・インフォマティクスを含め、最先端の技術動向に触れて頂ける貴重な機会になると思います」

----塗料サイドから見れば、工業用分野が主体の展示会のように感じますが。

「確かに従来の来場者は、機能性コーティング材を求める傾向が強いですが、我々は業種・分野の垣根のない塗料総合展の確立を目指しています。既にエレクトロニクス技術を建築分野で応用していく流れがあるように、なじみのある分野を通じて、これまで触れることのなかった技術に触れて頂くことに価値があると考えています」

----業種を越えて材料技術を包括していくことが産業を活性化させるということですか。

「そうです。しかしながら、材料技術はあらゆる分野に関わっており、更に成果物としての出口がたくさんあるため、これまで展示会を行うにも最終ユーザーを呼ぶことは容易ではありませんでした。ただ年間215本の展示会を主催する中で、我々はあらゆる産業と接点を作り、データベースを蓄積できたことで、今回のような材料総合展を実現することができました。今回新たに高機能塗料展が加わることで、出展社同士や来場者とのシナジーが新たに生まれるものと期待しています」



土屋勝利氏
土屋勝利氏

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