大手塗料ディーラーB to Cに乗り出す
一般消費者2,000人来場

塗料ディーラーの新たな挑戦が始まっている。協立塗料(本社・宮城県石巻市、社長・尾形和昭氏)が先月開いた展示即売会「協立フェス&フェア」には2日間で3,126名もの人が来場し、その6割を超える2,000名強が地域の一般消費者というこれまでにないイベントになった。将来的なB to Cビジネス開拓へ向けた布石を着々と打っている。


同社は東北エリアの有力塗料ディーラー。自動車補修、建築、船舶用塗料を中心に石巻の本社から仙台、古川、郡山、会津に至る5つの営業拠点を擁し、広範な商圏をカバーする。

従来は拠点ごとに地場ユーザーに向けたミニフェアを開催していたが、2015年からそれらを一本化、大型化し全社合同スタイルのフェアとして仙台市のコンベンションセンター・夢メッセみやぎで開催、今回が4回目となる。

塗料メーカーを始め塗装用具や設備、ツール、副資材など多数のサプライヤーが協賛出展し展示即売する同フェアは「お買い得感に加え、新製品やこれまで知らなかった便利グッズなど仕事に役立つ情報がたくさん得られる」(来場者)としてユーザーの支持を獲得。毎回1,000名を越える来場者で賑わう大型の展示会として定着している。

そのフェアに今回は大きな異変が起きた。同社のユーザー以外の一般来場者の数が飛躍的に増えたことだ。

尾形社長は4年前の初回開催時から「毎年この時期にここで開かれるイベントとして定着させ、やがては地域の一般消費者にも来ていただけるような催しにしたい」との想いを抱いていた。

国内、そして地域単位でも将来的な塗料需要の縮小が避けられない中で、「建築用も自動車補修用にしても、我々の従来の活動範囲のその先にある最終消費者層につながって塗料・塗装の魅力や楽しさを伝え、需要創造や価値発見につなげていかなければ根本的な解決にならない」との考えが根底にある。

最終消費者に響く商品やサービスとして塗料・塗装をどのように訴求していくか。そのマーケティング的な意味合いをもフェアに持たせ、一般消費者を呼び込む工夫を重ねてきた。

今回のフェアでも従来通りプロユーザーを満足させる出展を継続する一方で、一般来場者向けのイベントをこれまで以上に充実させた。

女性DIYアドバイザーのチーム「TANOK(たのっく)」をゲストで招き、ウォールペイント体験や小物のアイアンペイント体験などのDIYコーナーを展開した他、マスキングテープデコレーション、カラーシミュレーション体験など一般来場者が参加しやすいコンテンツを多数用意。

中でも来場者の多くが反応したのが「壁紙にペイントできるということ」と同社・経営企画室の尾形昌彦氏。「壁紙に塗れるということを知らないほど一般の人にとって塗料が遠い存在だとも言えますが、それだけに壁紙に塗れることのインパクト、そして思っていた以上に手軽にキレイにカラーリングできるとの好意的な反応を、お客様対応の中で実感しました」(同)とコメント。同社は今秋からインテリアペイントの店頭B to C事業としてカラーワークスの「スタンド」を始める予定にしており、同ビジネスの告知や反応を探る上でも意義があった。

今回のフェアで一般来場者を集客するに当たり、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどのSNSをフル活用して告知をした他、地元のタウン誌にDIY体験を中心とした広告を掲載。同誌による来場が約600名もあり、驚いている。「大都市だけでなく地方でもDIYブームが広がっていることの表れではないでしょうか。この流れを店頭塗料販売の『スタンド』に連動させ、B to Cビジネスの糸口にしたい」(同)と期待を高めている。

人気カラーツール、輸入販売開始

一方、同社は超小型の簡易測色ツール「color muse(カラーミューズ)=写真」の販売を今月から始めた。開発・販売元の米国・Variable社と独自に折衝を重ね輸入販売に漕ぎ着けたもの。

カラーミューズはカメラのフィルムのような形状をした超小型の測色機で、色を測りたいものに当てると現物の色を測色、無料の専用アプリを通じてスマホ(android、iOS)に色情報が即座に表示される。

測色した色はRGBやLabなどの数値で確認できる他、2つの色を色差計測できる。このため「調色作業において色差を確認するのに有効で、調色の精度とスピードが上がる」と実務的な効果を発揮。自動車補修の若手調色マン育成ツールとしても有効だ(ソリッドカラー限定)。

また、スキャンした色を各塗料メーカーの色の近似色で表示する。海外の主だったメーカーの色に対応している他、国内でもイサム塗料やターナー色彩、タカラ塗料の色の搭載が決定している他、各塗料メーカーにもアプローチ。搭載色の増加に伴ってカラーマッチングの機能が高まっている。

更に同品の画期的なところはスキャンした色から連想されるさまざまな製品が具体的に示されることだ(登録済み製品)。塗料だけでなく家具やタイル、壁紙、フローリングなどの建材から洋服や化粧品といった消費財にまで広がっており、欲しいものを色から選ぶツールとしての楽しみ方もできる。

それだけでなく、スキャンした色を元にカラーコーディネーションしたインテリアシーンなども表示されるため、設計やデザイン業務でも活用できる。この多機能で1万円台前半の購入しやすい価格に抑えられており、米国で人気が広がっているように色を楽しむグッズとして一般消費者もターゲットになる。なお、同社は今年8月23日~25日に幕張メッセで開催される「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW」に出展し、同品を紹介する。



協立フェス&フェア
協立フェス&フェア
簡易測色ツール「color muse(カラーミューズ)」
簡易測色ツール「color muse(カラーミューズ)」

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