NZ初の垂直式粉体塗装ライン

ニュージーランドの粉体塗装会社・Colour Works社(ハミルトン市)は、需要増の住宅市場を追い風として工場稼働率はフル状態が続いている。繁忙期である現状は2直交代の22時間稼働で外装建材1万3,000パーツを生産する。3年前にはニュージーランド初の垂直式粉体塗装設備を導入し、7mの外装建材を縦吊りで粉体塗装を行い、塗装ラインのコンパクト化と生産性向上を図った。


Colour Worksは建材メーカーAPLの粉体塗装を請け負う事業会社。APLグループはアルミニウム押出成形のINEX、陽極酸化仕上げのFINEX、プラスチック加工のPPL、流通会社のAPL Directなどを有しており、Colour WorksもAPLグループの1社。製品は住宅のドア及び窓サッシのアルミ建材で、カーテンウォールなどビル建材は扱っていない。

同社の従業員数は65名(APLグループ全体は500名)であり、工場は化成処理ラインと粉体塗装ラインが3ラインある。グループ会社の工場を同じ工業団地内に集約しており、前工程のINEXはすぐ隣にあるため、効率的に生産シフトが組める。

1日の生産数量は1万3,000パーツほどで粉体塗料の使用量は30~40トン/月になる。ニュージーランドの粉体塗料市場で圧倒的シェアを占めるDGL Internationalブランドの粉体塗料を採用。なお、DGL Internationalはオーストラリアの塗料メーカーDuluxグループとして事業展開しているため、今年8月の日本ペイントホールディングスによるDulux買収によって、日本ペイントホールディングスグループとなっている。

粉体塗料のグレードは建材が屋外用途のためポリエステル樹脂系がほとんど。硬化系はHAAタイプとなっており、ウレタン硬化タイプが主流の日本市場とは大きく異なっている。カラーはひと月に約160色使用しており、360色まで可能な生産体制を敷いている。繁忙期のこの時期は1日22時間稼働(2直体制)であり、閑散期では19時間稼働体制となる。

粉体3ラインで生産効率高める
前処理はクロムフリー系採用

粉体塗装設備は3ラインあり、横吊りラインが量産用の第1ラインと小ロット用の第2ライン。隣の建物に3年半前に新設した垂直式の縦吊りラインを量産用として持つ。第1ラインはホワイトなど淡彩カラー、第3ラインは人気カラーのブラックなど濃彩カラーを使い分けることで、色替えでコンタミを抑えた効率的な生産を行う。

塗装品は最大ワークサイズが7mの長尺品が多い。APLでは塗装後に短くカットし窓枠製品やドア製品として流通させている。

第1ラインと第2ラインでは、前処理装置はオフラインであり塗装ラインのすぐ隣にディッピング式の前処理装置を配置。6槽式で酸洗いから始まり化成処理剤はクロムフリーのジルコニウム系を採用している。水切り乾燥工程はなく常温乾燥し粉体塗装ラインへと移る。

第1ラインはワークを荷掛けしてすぐにプレヒート工程に入る。前処理工程で水切り乾燥をしていないため、完全に水分を蒸発させることが目的。粉体塗装設備は、GEMA製のコロナ式5ガンを縦に配列したレシプロを対面に設置(計10ガン)して粉体塗装しておりタッチアップはしていない。粉体塗料は回収再利用している。焼付温度は220℃で乾燥炉は34m。ラインスピードは塗装品によって異なるが、視察日は2.45m/minで搬送していた。

第2ラインは小ロット用の塗装ラインで第1ラインのすぐ隣に配置している。塗装設備はGEMA製のコロナ式3ガンを縦に配置したレシプロを対面に設置(計6ガン)、後補正でハンドガン2名がタッチアップを行う。少量多品種を扱うため、一部の色は回収再利用しているが基本的には吹き捨てで行っている。

7メートル製品を縦吊り粉体塗装
補正レス

第3ラインは3年半前に設置した同社の塗装ラインでは最も新しい塗装設備となる。このラインはニュージーランドでは初となるイタリアのCUBE TREVISAN製の垂直式粉体塗装設備を採用している。

垂直式の縦吊りラインであり、前処理工程から粉体塗装、乾燥炉までの一貫生産ラインとなっている。7mの長尺品であっても縦吊りにすることで設備はコンパクト化が可能。

前処理はジルコニウム系化成処理剤を上にポンプで吸い上げて、長尺ワークに対して上から下に流すやり方。塗装機はGEMA製コロナガンを使用しており、ワークに対して自動ガン4ガンを設置したレシプロを4方向から設置(計16ガン)し自動ガンがワークに対して上下に動く。タッチアップはなく、粉体塗料は回収再利用している。その後、乾燥工程220℃×45分に移る。

同社には、日本パウダーコーティング協同組合の海外視察ツアーで訪問。日本では極めてまれな大型の垂直式粉体塗装設備を見ることができた。タッチアップがないのも特徴的であったが、入り組んだ形状部にもきちんと膜厚が確保されていた。



Colour Works外観
Colour Works外観
CUBE TREVISAN製の垂直式粉体塗装設備1
CUBE TREVISAN製の垂直式粉体塗装設備1
CUBE TREVISAN製の垂直式粉体塗装設備2
CUBE TREVISAN製の垂直式粉体塗装設備2

HOMENew Trendニュージーランド視察ツアーNZ初の垂直式粉体塗装ライン

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