日本ペイントホールディングスは2月下旬、東京都内で機関投資家向けに経営方針説明会を開催した。田中正明代表取締役会長兼社長CEOがM&Aの活用による成長や国内生産拠点への投資による生産性向上などの経営方針を示した。グローバルシェア4位にある現状で、田中社長は「いつの日か1番になりたい。それくらいアグレッシブな気持ちを持っていなければ世界では成功しない」と意気込みを述べた。

M&Aを積極推進
「建築汎用がターゲット」

M&Aについて、国内外において株主価値の最大化に資するM&Aを推進する方針を掲げており、田中社長は「塗料業界は成長性がありキャッシュフローが安定している。昨今の市場環境は低金利での調達が可能で、M&Aに適した業界」との見方を示す。

ただ、「規模の拡大だけのM&Aはしない」とし資本コストを上回るリターンの獲得とEPS(一株当たりの当期利益)増大に焦点を当てる。

対象としては、「世界の塗料マーケットを見ると、最も伸びている建築汎用塗料が1つのターゲット。ただしポジショニングがグローバルに高いものになり得るならば、それ以外の需要分野においても考えていきたい」意向。アジアの市場では既にトップシェアを占めており、その対象地域は欧米市場を見据えることを示唆した。

国内生産拠点の見直し
「今年はプランニングの時期」

今後の戦略としては国内生産拠点への投資による生産性向上を挙げる。田中社長就任以前に、国内主要工場を3つに集約する検討を進めてきた経緯があり、それをベースに進めていく方針。

単なる工場集約にとどまらず、受注、調達、生産、配送、販売までトータルで抜本的なサプライチェーン改革に取り組む戦略を打ち出す。

主力工場について「3つの工場をベースにするが、もう少し広がりがあっても良いのではないかと検討している」と最適化を狙っており、国内生産拠点の見直しは「いくつかのフェーズに分けたとき、今年はプランニングの時期」と説明。既にスタートさせているこのプロジェクトを加速させていく。

新たな工場ではIoTやロボットの活用といったデジタル化や自動化技術を導入していく意向。既に中国の工場では先進的な生産体制を構築しており、「基幹工場でも従業員は20名ほど」と高い生産効率を実現している。

グローバル戦略を加速させる中で、同社の強みとしているのが"蜘蛛の巣型経営"だ。各地域及び子会社のCEO間の信頼に基づくパートナーシップを形成することで、各企業間で有機的に連携しシナジーを発揮する体制を構築。「日本中心に考える必要はない」としてグループ間でのシナジーの創出を促す。