残塗料を調色、再販システムの構築へ

塗料販売店の源兵衛(本社・京都府舞鶴市、社長・佐々木健一氏)は、塗装ユーザーを対象に在庫管理機能と発注機能を備えたWEB型塗料管理システム「アマパシャ」を開発した。将来的には、塗装会社などにおける余剰塗料の調色・出品機能を付与した塗料リユースシステムに拡張する計画で、塗料廃棄物の削減と有効活用を目指す構えだ。


源兵衛は、第15代将軍徳川慶喜が大政奉還した前年の1886年(慶応2年)創業の老舗の塗料販売会社。江戸、明治、大正、昭和、平成を乗り越え、現在は本社と福知山の2カ所に営業拠点を抱え、建築用塗料、車両用塗料、工業用塗料など塗料全般の販売を行っている。従業員数は10名。2001年から7代目社長の佐々木健一氏(46)が就任している。

同社が塗装会社の在庫管理システムの開発に至ったのは「余った塗料をなんとかして欲しい」という顧客の根強い要望がきっかけ。その際、残塗料を調色して再販する構想と合わせて、システム開発に着手。今回、先行して実装を終えていた在庫管理・発注システムのリリースに踏み切った。

在庫管理機能においては、メーカー名及び商品名の他、色番号、容量、数量などの情報を一目で把握できる。在庫情報は事業所、倉庫ごとに登録でき、複数拠点の在庫状況を一元的に管理することができる。また製品缶の画像記録も可能で、開封済み塗料の場合、計量機の表示を一緒に撮影することで残塗料の容量を把握することができる。 

主にスマートフォンでの使用を想定し、画像を大きく表示し、操作しやすいデザインを採用。機能も最低限必要なものに削ぎ落としつつ、「在庫情報に色情報を加えたことで、余分な注文を減らすことができる」と残塗料の削減を目的としたシステム構成にした。 

一方、より利便性を高めるために実装したのが注文機能。

双方がデータ連携するEDIとは異なり、事前に登録した仕入れ先(塗料販売店など)のメールアドレスに注文情報を送るシンプルな構成とし、注文履歴からの再注文や配送先の指示、複数販売店への注文も行えるようにした。

メール発注のため販売店側が事前に商品を登録する必要はなく、ユーザーは複数メーカーの製品を任意に発注できる。また「現場で塗料が足りなくなった際などに重宝すると考えた」と画像(製品缶)での注文も可能にした。この他、倉庫管理、在庫管理、発注など担当者ごとに権限を付与する機能も備えた。

費用は、事業規模に応じて月額800円(利用可能人数1名、登録商品点数100点)、2,900円(3人、300点)、4,900円(10人、500点)、7,900円(20人、1,000点)の4プランを設定。建築、自補修、工業用とユーザーの業種を問わない点も特徴となっている。

塗料C to C活性化に期待

今回、同社が開発した在庫管理・発注システムは、全体構想の一部をリリースしたもので、最終的に目指すのは、残塗料の再販を行える塗料のリユースシステムの構築だ。

ただ残塗料の販売に関しては、アウトレット塗料や中古塗料として既に市場に流通しており、現在はメルカリやヤフオクのようなCtoC(消費者間)サイトの登場でより活発化している実態がある。

その中で同社が差別化に見据えたのが、調色技術を組み合わせた再販体制の構築。「購入者が望む色に対応することができれば、マッチング率が高まると考えた」とカラーニーズへの対応に商機を見出している。

近年、産廃コストの削減だけでなく、環境配慮の観点からも廃塗料の削減や余剰塗料の有効活用へのニーズがユーザーレベルで高まっている。塗料廃棄物削減に特色を持たせた同社のシステムが支持を得るか、今後の開発動向に注目が集まる。



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