京都の名刹・清水寺。1200年を超えるその歴史の中で初めて企業の入社式が行われた。歴史の扉を開いたのは建設塗装会社の竹延(本社・大阪市、社長・竹延幸雄氏)及びグループ会社のKMユナイテッド(本社・京都市、同)。3月30日、竹延グループの今年の新入社員15名が清水寺で晴れがましい入社式を迎えた。

建設業の人手不足の抜本的な変革を目的に、5年前に人材育成を目的とした新会社・KMユナイテッドを設立。専門工事業ではまだ希少な正社員・週休2日という就労条件と、性別や学歴、国籍を問わない多様な人材の受け入れ(ダイバーシティー)をスタートした。

更に、1人前になるには10年かかると言われる職人の世界において、未経験者を3年で一人前に育成するプログラムの考案と実行、付加価値の高い特殊意匠仕上の内製化、社内に『職人育成塾』を開設するなど職人の採用と育成に心血を注いできた。特に女性が職人として多数入社し、活躍していることでも各方面から注目を集めている。

今年も職人志望を中心に男性7名、女性8名の15名が正社員として入社。「目指すところは日本一の職人。その彼ら、彼女らに自分が日本一のお寺だと思っている清水寺でスタートを切らせてあげたい」(竹延幸雄社長)との思いから清水寺に交渉。

建物を後世に受け継ぐための職人の育成と技術・技能の継承にかける同社の熱意が寺側に伝わり、「1200年を超える歴史の中でも初めて」(同寺・森部長)という入社式が行われることになった。

新入社員と竹延グループの幹部、熟練社員など総勢30名ほどが『竹延』の法被をまとい、一般の参拝者が入れない内陣で祈祷を授かり、仁王門の前で同寺の森清範貫主を囲んで記念撮影。最後に職人会社らしく全員の手締めで行事の無事終了を祝った一連の入社式にどの顔も感動の色が漂っている。

森貫主は「今日の晴れがましい感動をいつも心の中に持ち続け、それを原点に頑張っていただきたい」とエールを贈った。