2020年12月期第2四半期業績 実質減収も汎用分野が下支え
通期業績予想を上方修正

日本ペイントホールディングスは、2020年12月期の第2四半期決算を発表し、8月20日業界紙向けに会見を行った。専務執行役CFOの若月雄一郎氏は、「中国、アメリカともに汎用分野で底強い回復を見せており、新たに加わったDulux、Betekともに収益面で貢献している」と説明。続けて「見通しの合理的な判断は難しいが塗料産業の底強さも見える」とし、5月に発表した通期予想を上方修正した。


同社の2020年12月期第2四半期業績は、短信ベースで売上収益1,825億円(10.6%増)、営業利益194億円(10.9%減)、税引前利益200億円(9.2%減)、四半期利益は94億円(8.4%減)の増収減益。買収効果や為替の影響を除いた実質ベースでは、売上収益1,457億円(11.6%減)、営業利益132億円(39.8%減)、税引前利益142億円(36.1%減)、四半期利益59億円(45.6%減)の減収減益となった。

地域別業績(実質ベース)は、日本:売上収益357億円(22.9%減)、営業損失2億円△アジア:売上収益932億円(2.0%減)、営業利益137億円(1.5%増)△米州:売上収益155億円(23.6%減)、営業利益4億円(82.5%減)△その他:売上収益14億円(58.5%減)、営業損失6億円を計上。グループ売上高の約2割を占める自動車向けが全地域で減少を強いられる中、売上比率の高い日本、米州の落ち込みが目立った。

それでも汎用分野においては、底強さも見せる。都市封鎖を解除した中国は、建設工事関連が加速し、第1四半期の落ち込みを取り戻す形で回復。Dunn Edwardsを持つ米州の汎用も4月の落ち込みが影響し、実質ベースで対前年比3.7%と売上を落としたが、約6割減となった自動車用を下支えし、今期からフルカウントとなった豪・Duluxも巣ごもり需要を受け、増収増益を計上した。

全体としては、自動車、工業用は全地域で需要減退の影響を受けているものの、都市封鎖を解除した地域を中心に汎用分野の回復ぶりが目立つ。

とはいえ、通期見通しについては第1四半期の落ち込みを取り戻すまでには至らず、DuluxのオセアニアとBetek(トルコ)擁するその他地域の汎用を除き、減収の予想とした。

ただ5月時に発表した通期業績予想時からは回復傾向にあるとし、売上収益7,200億円→7,300億円、営業利益630億円→660億円、税引前利益600億円→650億円、当期利益250億円→280億円とそれぞれ上方修正した。

国内は依然として不安続く

その一方で国内事業は、こうした需要回復の兆しを見せる海外と状況を異にし、新型コロナの長期化が見通しの判断を難しいものにしている。

国内の売上収益における通期見通しは、自動車25~35%減、汎用5~10%減、工業用10~20%減とし、全体で10~20%減になると予想。

汎用分野の見通しについて、常務執行役・喜田益夫氏(日本ペイント社長)は、「下期に入った7月に関東を中心とした長雨に見舞われ、需要が大きく減退した。その分、8月は反動を受けて好調に推移しているが、9月は昨年の増税前の駆け込み需要の影響を受け、減少するだろう。その意味では、消費税増税の影響を受けた昨年に対し、10月、11月でどれだけ取り戻せるかが勝負になってくる」との見方を示した。

また巣ごもり需要を受け、家庭用塗料事業を担うニッペホームプロダクツの好調ぶりを指摘。「売上ベースで150~180%のレベルで伸長しており、7月、8月も引き続き高い水準で伸びている」とコメントした。

一方、工業分野については常務執行役・塩谷健氏(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社長)が各需要分野別の動向を説明した。「コイルコーティング事業は、コロナ禍の影響が軽微で客先の在庫調整も一服感が見られる。加えてEC拡大による倉庫の拡充、新設などの案件も出ている」と回復基調にあるとした。また建機・農機については、「国内は設備投資抑制の影響を受けているが、中国の急回復により国内からの供給ニーズが高まっている。内需、北米に供給してきた国内工場が中国の応援要請に応えられるかがポイントとなる」と話した。

それに対し、窯業系建材など住宅建材向けは厳しい状況が続くと指摘。「コロナ禍で住宅展示場が休業、集客減に追い込まれており、受注機会を大きく損失している」とし、下期も同様の状況が続くとの見方を示した。

続けて塩谷氏は、昨年末に本稼働した粉体塗料新工場(千葉)に言及。「各工程のデータ化により受注予測までを可能にした新システムが6月に完成した。工場従業員の労務環境にも配慮した製造、販売、技術が三つ巴になって構築したニューモデル工場」とアピール。9月からはミドルゾーンに向けた新製品を販売する予定で、溶剤からシフトを追い風に販売拡大に強い意欲を示した。



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