8億円調達、レーザー施工拡大へ

トヨコー(本社・静岡県富士市、代表取締役・豊澤一晃氏・茂見憲治郎氏)は9月26日と30日に日本郵船、鈴与建設、山本光学の3社と資本業務提携を締結し、静岡銀行からの資本性ローンと合わせて合計8億円調達したと発表した。レーザーによって社会インフラ構造物の塗膜及び錆を除去するCoolLaser(クーレーザー)事業の更なる拡大を目指す。


同社が開発したクーレーザーとは表面上の一点に集光された高い強度のレーザービームを高速回転させながら円状に走査(スキャン)させ、表面にある塗膜や錆を瞬間的に溶融、蒸散、熱破砕により除去する工法。

橋梁やプラント、船舶、鉄塔などの塗り替えの下地処理として普及を目指しており、ブラスト処理と比べて粉塵飛散や騒音、大量の産廃物発生などを抑えることができる。

更にはレーザー光を吸収させれば対象物の塗膜や錆を除去できるため、入り組んだ部分であってもスムーズに作業でき、光は反動がなく作業者が扱うのは軽量なヘッド部分のため負担も少ないというメリットがある。

クーレーザーは2018年10月より事業化しており、今回の4社と新たに資本業務契約を締結したことで、開発体制を強化し事業を加速させていく意向。

「当社は両代表取締役が全く同じ権限を有する独自の2トップによるパートナーシップ経営を行っており、資金調達についてもベンチャーキャピタルに頼らず事業会社とのパートナーシップを構築することに主眼を置いています。この度の提携・調達により新たに4社の頼もしいパートナーを得ることができました」(豊澤氏、茂見氏)。

同社では既に前田建設工業、第一カッター興業、デジタル・インフォメーション・テクノロジーと資本業務提携を結んでおり、「7社となったパートナー企業様とともに、世界中のインフラなど建造物のメンテナンス現場に光を当てて変えていくことに挑戦します」として事業拡大を図る。

各社との業務提携内容として、日本郵船(出資金額2億9,400万円)は、船舶では航海中に乗組員による日常的な錆落としや塗装作業などのメンテナンス作業があり、海事領域でのクーレーザー適用により乗組員の作業効率改善が期待できる。加えて船舶・港湾機器の長寿命化や保全に要するライフサイクルコストの削減、修繕ドック時の環境負荷軽減が期待でき、効率的で環境に配慮したメンテナンス手法の実現を目指す。

鈴与建設(出資金額2億9,400万円)では、トヨコーとの共同出資によりレーザー施工専門会社を設立し、構造物の施工事業を行っており、レーザー施工体制の強化を図る。

山本光学(出資金額2,800万円)ではレーザー施工を行う作業者の保護メガネなど安全対策を強化する。レーザー施工には失明などのリスクがあるため作業者の安全対策に努める。静岡銀行は2億円を融資している。

また、レーザー施工の体制整備として今年5月に一般社団法人レーザー施工研究会が設立された。施工業者をメインにゼネコンなど80社が会員となり、施工技術の普及発展を進めていく。まずは来年1月までに安全ガイドライン管理基準を策定する予定。施工体制を整備し普及を目指す。



レーザーで錆を除去
レーザーで錆を除去

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