山一化学工業は建築外面・内面用の水系塗膜剥離剤「バイオハクリAQ」を開発、4月から販売をスタートさせた。アスベスト含有塗膜の除去作業など建築外装向けをメインに拡販を図る。

同社では橋梁など鋼構造物用として「バイオハクリ」シリーズを展開しており、橋梁塗り替え工事などで数多くの実績がある。建築用としても溶剤系の「バイオハクリRE」を市場展開しているが、現場からは「建築塗り替え工事での塗料は水系が一般的であり、剥離剤でも水系の要望が根強かった」という。

バイオハクリAQは水系タイプのため、塩素系有機溶剤(ジクロロメタン/塩化メチレン)を使用しておらず作業環境に配慮した設計となっている。

剥離のメカニズムとしては、従来の溶剤タイプのように旧塗膜を溶解させるのではなく、下地まで浸透し塗膜全体を軟化させ剥離する。そのため飛散がなく安全面が改善されるとともに作業の生産性も飛躍的に向上した。

塗布後の放置(塗膜軟化)時間は目安として外壁塗膜で18時間以上、内装塗膜で12時間以上となっている。

開発に至るまではこの放置時間と乾燥がポイントであった。「夏場では躯体の熱が高くなり水はすぐに乾燥してしまう。そこで剥離剤が十分に浸透し軟化状態に至るまで保湿性を維持できるかがノウハウ」(担当者)と環境配慮と作業性の両立を実現した。

湿潤軟化状態となった塗膜をスクレーパーなど手工具で剥離除去する。アクリル系吹付タイル、複層弾性の場合、標準塗布量は1.0kg/㎡/回。設計価格は従来品と同等の32,000円/16kg/石油缶。

アスベスト含有塗膜除去工事では剥離剤が使用されるケースが多く、同社では環境配慮と作業性にすぐれた同品を積極的に提案し拡販を図っていく。