ストーンチップ鋼板屋根材メーカーのディートレーディング（本社・東京都中央区、社長・髙木強氏）は、今年から塗装会社を窓口にした材工展開を本格化する。元請け型の塗装会社に対し、屋根施工業者を斡旋し、屋根の葺き替えやカバーなど塗装以外の工事提案を可能にするというもの。改修市場における成長施策として、塗装会社との連携に活路を見出そうとしている。
ディートレーディングは、ジンカリウム鋼板に天然石粒を被覆したストーンチップ鋼板屋根材「ディーズルーフィング」の製造販売会社として平成10年に設立。地場の工務店や中堅ビルダーを通じ、官公庁、商業施設、住宅などで実績を重ね、2020年は年間出荷実績70万㎡を超えた。
屋根材におけるストーンチップ鋼板屋根材の国内シェアは5％（同社調査）とボリュームこそ少ないが、世界ではニュージーランドを発祥に製法技術がアメリカにわたって以降は拡大を続けており、現在、アメリカ、オセアニア、欧州、アフリカ、アジアと世界に需要を広げている。
その需要拡大につながっている最大の要因は、軽量性と耐久性。
1平米あたりの重量は7kgと瓦（約50kg）、スレート系（約20kg）、シングル系（約13kg）を大きく下回る。耐久性においても高防錆力を持つガルバリウム鋼板と同じ組成を持つジンカリウム鋼板に石粒を固着させることで長期のメンテナンスフリーを実現。同社「ディーズルーフィング」においては、 基材鋼板の錆による漏水や基材石粒の褪色及び剥離に対し、30年保証を付与。同じ軽量性で人気を高めるガルバリウム鋼板などとの比較においても「傷による劣化を防ぐ他、石粒の凹凸が雨を拡散し、雨音や微振動を抑止する」と差別化を訴求する。
断熱材がないため夏場の温度上昇が懸念されるが、石粒の近赤外線反射機能が遮熱性を保持する他、屋根材同士を一体化させる「インタロッキング工法」の採用により65m／S以上の暴風に耐えられる。高防火、高防水性を備えるなど、通常の金属屋根材には出せない多彩な意匠性も特徴となっている。
まだまだ施工業者、消費者とも馴染みの少ない屋根材だが、地震や台風被害から軽量屋根材へのシフトを強めており、同社に対する引き合いが増加。同社担当者は「自然災害のたびに発生する屋根材の飛散、割れ、ちぎれなどが、"軽くて丈夫な屋根材"への関心を高めている」と話す。
材工価格は、スレートやシングル屋根材と比べると割高となるが、通常のガルバリウム鋼板とほぼ同等。施主、施工側双方の付加価値化に寄与したい考えだ。
塗装以外の選択肢を提供
こうした災害対策ニーズの高まりを背景に、同社は既設住宅においても需要が見込めるとして、昨年から改修市場に向けた展開を本格化している。 そこで新たなパートナーとして見出したのが、元請けスタイルで展開する塗装会社との連携だ。
これまで新築向けに工務店、商社、専門工事業者とのネットワークを構築してきたが、改修市場は施主との関係が不可欠として、施主と直接の関係を持つ塗装会社に着目した。「家が建築された後、屋根に最も多く上がるのが塗装屋さん。塗り替えのたびに建物全体の状況や基材の状態を把握している塗装屋さんに葺き替えの選択肢を提供する意義は大きい」と話す。
仕組みとしては、施主から依頼を受けた塗装会社が同社製品による葺き替え及びカバー工法の提案を可能にし、事前調査及び施工（材の仕入れ含む）については同社が斡旋した施工業者が対応する。施工費は、塗装会社が元請けとして原価に組み入れ、施主に提示する流れとなる。
施工期間は、カバー工法（約80㎡）の場合約3日で外壁塗装との並行作業も可能。現在のところ受注の8割以上がカバー工法で占めるという。
こうした塗装以外の工事を協力業者に依頼するスタイルは従前から存在するが、同社としてはストーンチップ鋼板屋根材で塗装会社の差別化に寄与したい考え。一方「改修需要を活性化することで、工事量の減少に苦しむ屋根施工業者に仕事を提供することができる」とマッチングビジネスとしての相乗効果にも期待を寄せる。
更に塗装会社と連携を目指すに至った大きな理由に塗りたくても塗れない屋根材の存在がある。「セメント層が脆弱になった瓦や劣化の著しいスレートをはじめ、塗装を依頼されても施工できないケースが増えている」と塗装会社の受注機会の損失につながっている現状を指摘。塗装以外の工事提案が塗装会社の価値向上に寄与している。
既に全国規模の施工店ネットワークとの協業を始めた他、今後は認定販売店制度を充実させるため、全国の塗装会社への加盟を呼びかけていく予定。
加盟店には、営業手法の支援の他、自社施工を要望する加盟店に対しては、仕入れルートの紹介や葺き替えに関する技術指導も行っていくとしている。
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