素材感生かす難燃塗料に脚光
建築木部塗装で期待高まる

大日技研工業(本社・東京都中央区、社長・中村満治氏)の難燃塗料「ランデックスコート 難燃クリア」が大きく動き始めている。同社と帝人及び大丸興業が共同で開発、「透明性と難燃性を両立した世界初の水性1液難燃塗料」として昨年市場投入したもので、被塗物の風合いや素材感を生かしながら高い難燃性を付与できるとして需要家の関心が高まっている。木材や紙、ファブリック製品などへのプレコートの他、公共物件の木部現場塗装でも採用がスタート、新たな難燃技術として脚光を浴びそうだ。


住宅火災による死亡者が年間900人を数え、特に高齢者の逃げ遅れによるケースが増えている現況、木材や紙など可燃性の高い部材の難燃、不燃性を高めることは社会的な要請事項だ。

木材などの難燃性を高める場合、一般的な難燃剤を含浸させる手法の他、近年では難燃性を持つ塗料を塗布するケースも増えている。しかしいずれの場合も、難燃剤の析出やエナメル塗料による着色化、クリヤー塗料の濡れ色化など素材本来の持つ風合いや意匠を損ねる課題が解消されていない。

「ランデックスコート 難燃クリア」は大日技研工業の水性無機質高分子塗料技術と帝人のリン系難燃剤及び大丸興業の特殊アクリル樹脂などの組成を最適化して開発した新規難燃塗料。被塗物の風合いや素材感を損ねずに高い難燃性を付与するのが最大の特長だ。

例えば障子紙に同品を塗布しても乾燥後には濡れ色が消失、色や風合いに全く変化がないほどの素材再現性を実現。更に難燃性に関しても、可燃性ガスと酸素との結合を抑制するラジカルトラップという新たな技術により、「従来の炭化層形成を応用した難燃塗料などと異なり、初期から火の立ち上がりそのものがない」と説明、安全性を高めたと自信を示す。

同品を木材や紙、ファブリックなどにプレコートすることで素材感や意匠を損なわずに各種製商品の難燃性向上、更には不燃化をも期待できるとして建材や素材メーカーでの採用が活発化。

また、建築物の現場木部塗装でも採用がスタートした。先月施工が終わったJR西日本の駅舎の建て替え工事では天井を支える木部の梁に採用。「木部あらわしのデザインのため、人が集まる場所での安全性と木材の持つ風合い、素材感を生かすことの両面を評価されて採用されました」と説明。「木材利用促進法を背景に大規模木造建築物も増加する方向にあり、木造建築ならではの素材感を生かし、かつ高度な難燃性を付与する技術として普及させていきたい」と積極展開する。

なお、同品は製造元・大日技研工業、総販売元・大丸興業の体制で展開。



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