ホームセンターとネット通販の両面展開へ
業務用ブランドを投入

日本ペイントの家庭用塗料会社のニッペホームプロダクツは2月、建築用内外装塗料を揃えた業務用ブランド「FOR PRO」を投入した。販売はホームセンターでの店頭販売と同社が運営するネット通販で展開し、調色や直送依頼にも対応する。内外装塗装に要する製品を絞り込み、かつ少量ニーズや調色に対応することで、工事業者などセミプロ需要の取り込みを狙う。


昨今、女性DIYファンの台頭により成長が期待される家庭用(DIY)塗料市場だが、市場全体の底上げには今ひとつつながっていない。日塗工が昨年3月に発表した平成29年度の家庭用塗料の需要実績見込は前年度比96.8%の2万9,000トン。平成30年度の需要予測でも2万9,000トンと横ばい基調を見込んでおり、一連のDIYブームもガーデン用品や造作品など使用量の少ないホビー用途にとどまる。そのため、メーカー各社はインテリアや外装へ誘導しようと啓蒙策を講じている最中にある。

かたや家庭用塗料最大の販売チャンネルであるホームセンターは、DIY需要の将来性に期待しつつも、コンスタントな需要が得られるビジネスユーザーの取り込みを積極化。「ホームセンターで塗料を買うのは、約2割が一般消費者で、残りの8割は工事業者をはじめとするビジネスユーザー」(関係者)との見方を裏付ける形で、木材、金物、各種資材と同様、塗料についてもプロショップ化の方向が明確になっている。

しかし、用途や素材に応じて、製品群が多岐にわたる塗料において、業務用の展開にはハードルがあるのも事実。品揃えや説明対応をする店舗スタッフの育成、色対応など、ホームセンターの販売スタイルと半製品である塗料ゆえの複雑性が限定的な需要にとどめている。

そうした中、今回投入した「FOR PRO」は、製品を建築塗装に必要な最低限の品揃えに絞り込み、樹脂名を記載したシンプルな製品名にするなど、ホームセンターのプロショップ展開向けに一歩踏み込んだ形。更にネット販売にも対応することで、メーカーサイドとしても実店舗の有無を問わない展開を可能にしたところに新規性がある。

ネットでは少量調色にも対応

今回、"プロのための業務用塗料シリーズ"と銘打った「FOR PRO」の製品ラインアップは、①水性②弱溶剤③さび止め④下地材・その他に分類し、水性は「水性アクリル塗料」(屋内外一般建築物用)、「水性シリコン塗料」(外壁用)、「水性内装用塗料」(内装用)、「水性内装・軒天用塗料」(内装・屋外軒天井用)の4製品。弱溶剤は「弱溶剤形ウレタン塗料」(建築物屋内外の各種)の1製品。さび止めは「速乾性さび止め塗料」(さび止め下塗り)、下地材・その他は、「水性微弾性フィラー」(外壁用下塗り材)、「塗料用シンナーA」(ペイントうすめ液)とした。水性4製品については容量を一斗缶に加え、1kg、4kgを揃え、少量ニーズへの対応を図った。

特徴的なのは、1kg、4kgの少量対応も含め、調色(水性タイプのみ)、配送、掛売りとビジネスユーザーが必要とするサービスを整えた点。掛売り(後払い)は法人・個人事業主向けに月末締め翌月払いによる決済を行う外部サービスを採用した。

業務用展開における過去の取り組みから調色サービスは、ホームセンターの店頭調色ではなく、メーカー調色による取り寄せ(一斗缶のみ)で対応するが、1kg、4kgの少量調色については同社が運営するWEBサイトで対応。色は日塗工色(G版以降)に収録されている約500色(淡彩色・中彩色)から選べるシステムを構築した。現在、プロショップや大型店を中心に約10店舗が同品を採用し、今後は更に100店舗まで引き上げていく意向を示す。

今後注目されるのは、約500色の調色に対応する実店舗とネット販売の両立を図った展開が全国のニッチな塗料需要を掘り起こし、需要の裾野を広げることができるかどうか。「"塗らない"から"塗る"を選んでもらうことが重要」(担当者)と、塗装に対する垣根を下げるところに同社の狙いがある。



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