日本ペイントホールディングスは、欧州の自動車用塗料事業を担うNippon Paint Automotive Europe GmbH(NPAE)、インドの自動車用塗料事業を担うBerger Nippon Paint Automotive Coatings Private Limited(BNPA)及びインドの主に建築用塗料事業を担うNIPPON PAINT (INDIA) PRIVATE LIMITED(NPI)の株式をウットラムグループに譲渡すると発表した。譲渡価額は約186億円。

同社は「自動車用塗料事業のグローバル一体運営という方針のもと欧州及びインドの戦略的重要性は変わらない」とするものの、コロナの影響や半導体不足、原材料価格の高騰などにより事業環境は大きく変化した。インドの建築用塗料及び自動車補修用塗料事業についても同様に厳しい事業環境となっている。

そうした状況下、「単年度の業績というよりは持続的な中長期的な成長性及び収益性を実現するためには、抜本的な対策や投資といった事業再建策が必要であると判断した」(代表執行役共同社長・若月雄一郎氏)。

その実行を上場会社である同社グループが行うと、短期的に財務上の負担が大きく、今後のM&A推進も考慮すると各種施策が株主価値の最大化に寄与しない可能性を懸念。ウットラムグループとの協議を経て、株式を買い戻す権利(コールオプション)を含む株式譲渡契約締結に至った。

短期的な再建に係る追加投資や再建 の不確実性をウットラムグループが負うことによりリスク分散を図ることになる。若月社長は「グローバル自動車用塗料市場におけるプレゼンスを維持し、一方で将来の戦略的な選択肢を維持することが可能となる」との見方を示した。

株式譲渡により資本関係は変わるものの、「将来的に3社を買い戻す権利を保有している上、各社の経営や事業運営についてはウットラムグループから委託を受けて当社グループが継続して実施する。社名変更もしない。お客様への対応も含めた影響は極小化できると考えている」としている。