粉体塗装研究会は6月13日、東京のきゅりあんで研究会セミナーを開催した。今回はサポイン事業が終了した田辺塗工所の泡を活用した塗装ブースやドライアイスブラストなどの発表が行われた。

田辺塗工所は「泡と微生物を利用したVOC高効率捕集・高分解塗装ブースの開発」計画がサポイン事業に採択され、平成26年度から研究開発に取り組んできた。セミナーでは、田辺直社長が全体概要を説明するとともに、研究開発に携わった新潟工科大学の竹園惠教授が実験及びデータ取得のアプローチから発表した。

「泡ブース」とは塗装ブースのスクリーン上部から金属板に沿って泡を流すことで、泡が塗料ミストを捕集するというもの。塗料ミスト・塵埃・VOCを効率的に捕集する泡の生成条件と破壊手法に取り組んできた。

竹園教授は泡の生成、泡の破壊、泡によるVOCの吸収、溶存VOCの微生物分解について行った実験について解説した。

3年間の開発成果として、①塗料ミスト捕集率98.5%②VOC捕捉40%③塗料消費量9%減の環境改善が得られた。加えて、ミスト吸引にかかる圧力損失が小さい構造のため、排気ファンの消費電力が抑えられるなどの効果があり、消費電力は水洗式と比べて81.5%減、ベンチュリー式と比べると91.5%減の効果が得られた。今後は販路開拓への取り組みを進めていく。

その他、東京ガスケミカルの望月徳三氏が「ドライアイスブラスト洗浄」を紹介し、ホソカワミクロンワグナーの渡辺隆氏が粉体塗装基礎講座の3回目としてブースシステムと付帯機器について解説した。