フランス塗装機メーカーのサメス・クレムリンは、塗布型塗膜保護剤システムの国内展開を本格化する。

同システムは、高粘度塗布機を塗膜保護用向けに応用開発したもので、液状の塗膜保護剤を塗布、乾燥させることで剥がせるフィルムを形成し、工業製品を傷から守ることができる。

既に自動車では、走行傷や鳥などの糞尿、酸性雨から守るため、工場出荷前にフィルムが貼られているが「塗布機をロボットに装着することで、効率化と省人化を図ることができる」(同社日本法人社長・丹野栄一氏)と国内の自動車メーカーへの採用拡大に期待する。

システムとしては、ロボットに装着した塗布機が10数cmの幅で塗膜保護剤を被塗物に塗布。その後、オーブン(70℃×3分)にて乾燥する。塗布時に数cmの塗り重ね部分を確保しているため、乾燥後は1枚のフィルムに仕上がり、納品後は容易に剥がすことができる。塗膜保護剤は水性1液タイプで、日本でも調達することが可能だという。

既に海外の自動車メーカーに採用されている他、北米の日系自動車メーカーも採用が決定。丹野氏は「1台の保護フィルムを貼り付けるため8人がかりで作業しなければならない車種もあり、フィルム作業の省力化に寄与する」とコメント。ある自動車工場の試算では、1台当たり11ドルの削減効果が得られたという。

同社は国内展開を本格化するにあたり、材料を提供している塗料メーカーとの協業も視野に入れていく考え。更に鉄道車輌、飛行機、工業製品などにも用途を広げたいとしている。