消費者が塗料を選ぶ時代へ

「塗料の選択大切よ♪」と流れる軽快な歌に合わせて、タレントのトラウデン直美さんがシュールなダンスを踊るテレビCM。今月からフジテレビの朝の情報番組「めざまし8」(金曜版)で放映されているテレビCMだ。スポンサーは、塗料メーカーのプレマテックス(本社・東京都江東区)。「塗料の選択大切よ」のメッセージの通り、「消費者が、塗料を選ぶ時代をつくる」のが同社のビジョン。住宅用塗料メーカーの新たな挑戦が始まっている。


「自宅のリフォーム工事で、商品を選べないのは塗料だけ」と持論を展開する同社。キッチンやトイレなど、リフォームに伴うメイン商品のほとんどは施主自身が選べるのに対して、「塗料の多くは、施工店の都合で選ばれている」実態を指している。従って、「消費者が塗料を選べる市場をつくれば、選ばれる塗料が勝つ」。それが同社の戦略だ。

プレマテックスは、住宅塗装市場で頭角を現している塗料メーカー。施工店との直接取引で事業を展開し、取扱店は全国に650社を数える。「当社の塗料を扱いたいと、毎日のように問い合わせがある」と連日増加中だ。

同社の塗料が施工店を惹きつけている理由は施主へのインパクト。塗料の商品力で工事の成約率を高めるからだ。

「お年寄りからお子さんまで、世代を超えたヒーロー」(担当者)の"ウルトラマン"が表紙を飾るカタログや塗料缶はインパクト十分。同社の顔ともなった「ウルトラペイントシリーズ」を始め、無機有機ハイブリッドの「タテイルシリーズ」などいずれの塗料も、これまでの概念を超えたパンフレットや販促物の作り込みだ。相見積の際などその強烈なインパクトが切り札となり、施工店の成約率を高める。

消費者(施主)から見れば塗料は単なる液体でしかなく、選択の手段を持たない。カタログなどで性能を示されても実感が湧かず、つかみどころのない商品だ。だからこそ、大切な自宅の塗装に際して、塗料を選ぶ決め手が欲しい。同社はその消費者心理を突いた。

パンフレット、カタログ、ホームページなど消費者とのインターフェースの作り込みは、業界では別次元。他社の塗料との比較になるほど違いが際立ち、塗料を選ぶ決め手となる。それらインターフェースのデザインから制作まですべて自社で内製化しており、「社内に広告代理店を構えているようなもの」(同)と、そこへの力の入れ方が分かる。

こうして"選ばれる塗料"への地歩を築いた同社が、次の一歩に踏み出した。「消費者が塗料を選ぶ市場づくり」への挑戦だ。消費者自身が塗料を選ぶ時代になれば、選ばれる塗料の地位を築いた自社の製品が優位になる。新規参入メーカーの差別化戦略だ。

業界変えるゲームチェンジャーに

同社は今年3月に、スマホやパソコンなどでテレビを視聴できるアプリ・Tverや、動画投稿サイトのYouTubeでCMをスタート。そして今月から、冒頭で触れた地上波(フジテレビ・めざまし8)でのCM放映も始めた。

自宅の屋根や壁を塗り替える際に、「塗料を選ぶことが大切」とのメッセージをCMで発信し、改めてそこに関心を向けてもらうのが狙い。業者側にコントロールされていた塗料の選択を、消費者が主体となって選ぶ時代へ。いわば、塗料の「消費財」へのパラダイムシフトの意味合いがこれらのCMに込められている。

製販装からなる塗料・塗装業界において、メーカーから見たエンドユーザーは塗装会社というのが業界の通念であった。このため塗料はB to Bの「産業財」となり、価格競争や同質化など閉塞感をもたらす要因にもなっていた。ここに、消費者自身が主体になって塗料を選ぶ「消費財」のパラダイムを持ち込むことで「風穴を開けられるのではないか」。それが同社の狙いだ。

消費者が塗料を選ぶ時代になれば、これまでの業界の慣習は通じない。エンドユーザーは塗装店ではなく一般消費者だ。業界内の都合は関係なく、消費者に支持される塗料が選ばれる。

そして、塗料自体は単なる液体でしかなく、消費者はそこに選択の手段を持てない。だからこそ塗料へのイメージづけが重要になり、「社内に広告代理店を抱えているようなもの」という同社の企画力や表現力、発信力が強みになるとの構想だ。

そのイメージづけにおいて、テレビCMに乗り出しギアを上げたプレマテックス。「住宅の塗り替えを今考えている人はもちろん、いつか必ずやってくるそのときに、『ああ、そう言えば』と当社を思い起こしてくれればいい。塗料を消費者が選ぶ時代になれば、業界は大きく変わる」とゲームチェンジャーに名乗りを上げた。



消費者の“決め手”になるインパクト
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地上波でのテレビCMがスタート
地上波でのテレビCMがスタート

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