アネスト岩田は圧縮空気を使わず静電気のみでコーティングする技術「EAコーティング」を開発、従来の塗装分野とは異なる新市場開拓技術として展開を本格化する。

同社は「シーズ思考を重視し、新しい技術から新しい市場を生み出すことを目指す」ことを目的に、昨年4月に先端技術研究所(所長・壷田貴弘代表取締役社長執行役員)を設立。今年4月に同所内にEAC(Electrostatic Atomizing Coating)技術センターを開設し、EAコーティング開発を行っている。

EAコーティングとはガンノズルの先で高電圧をコーティング剤に印加するだけで霧状にし、霧化粒子の搬送・塗着まですべてを静電気のみで行う。従来のようにエアーを使用しないため、エアーの流れに影響を受けず電界に沿ってワークに塗着する。

EAコーティングで生成される粒子は非常に高帯電な状態の霧化粒子であるため付き周り性に優れ、結果として「塗着効率はほぼ100%レベル」を達成している。粒子は電界に沿って搬送されるため、電界操作することで狙った箇所へのコーティングも可能となる。

従来では困難であった溝や隙間、裏面などに容易にコーティングでき、ワイヤーや網目など「小さい」「細かい」「隙間が多い」微細部品にも効率良くコーティングできる。

従来、内面ではエアーによる粒子の巻き上げで飛散の問題があったが、EAコーティングではその問題もない。また、絶縁材のマスキングを使用すればマスキングに塗着することもない。

同社ではEAコーティングにより、機能性材料を微細部品に塗布するなど新規分野への展開を目指しており、既に需要家と連携しながら製品化を進めている。更には汎用性を持たせたビジネス展開も見据え、シーズから市場を創造していく。