工業塗装専業者の久保井塗装工業所(埼玉県狭山市、窪井要社長)は塗装機器メーカーの明治機械製作所と共同で抗菌塗装システムを実現した。それに伴い、専用の塗装ロボットを開発。医療現場で使う什器などに抗菌塗装を施すことで病院での院内感染を防ぐ。主に医療機関を対象に来年4月からの受託生産を目指す。

新塗装システムで形成した塗膜は感染症の原因である黄色ブドウ球菌が24時間後に99%死滅する抗菌効果がある「抗菌活性値2.0 以上」の数値を確認。銀などの抗菌顔料をウレタンベースの塗料になじませ、20~50μmの膜厚で形成する。抗菌顔料とのマッチングを考慮しながら樹脂構造に手を加えることで耐摩耗性や耐久性にも優れた塗膜を実現した。

塗装システムは抗菌顔料を常に一定に流れるように供給装置、ポンプ、塗装ロボットを設計した。表面に抗菌顔料が出すぎても沈降しすぎても医療機関が必要としている抗菌活性値の基準をクリアする効果は出ないという。最初の吐出から最後の吐出まで一定に塗装できる手法が必要になる。窪井社長は「抗菌という非常にデリケートな技術では、同じふり幅で、同じ回数を安定的に塗装できるロボットが有効だと考えた」と話す。ロボット1基でキーボードであれば約500台/日の生産性を見込む。

同社では2年前にサポイン事業により「サブμmの機能表面を形成し抗菌性能を最適化する塗装技術の開発」という名称で認定を受けて開発に着手した。通常、シートなどに抗菌塗装が施された製品などがあるが、立体物には塗装の方が効果的との見方を示し、市場性を見込む。

更に、同社では抗菌効果の期間保証を実施することで更なる差別化につなげる。